高橋ヨシキ&柳下毅一郎、『ゴッドランド』を語る 「フレームの外側を考えさせられる」
『ゴッドランド』のスクリーンサイズに隠されたこだわり
スクリーンサイズにもこだわりがある本作。通常、映画は映像に余裕を持たせて撮影し、映画館のスクリーンサイズに合わせて区切るのだが、あえてフルスキャンすることで、フィルムの端が見えるようになっているという。高橋はその方法を絶賛しつつ「(映画を観ていると)フレームの外側を考えさせられるんですよ。映っていないものもあるので、“今観ているものはこれだけの窓なんですよ”ということを常に意識させられる作りになっていて……。それって本作のテーマと結びついているのかなと思います」と感想を述べた。 また、「面白いのは、伝道物語ではないんですね。当然、随分前からアイスランドにキリストは来ている。あれは区分を分けて、自分の教区を作っているんですよ。要はマトリクス化しようとしているんです」と高橋。終盤、ラグナルがルーカスに向かって言う台詞については「深堀りのしがいがある。どういうつもりでそれを言ったのか。いろんな意味に取れると思いますけどね。テーマとクライマックスが見事に一致しているなと思いました」「多層的にすごく真面目に考えられた映画なんで、いろいろ考えることがいくらでもできる」と振り返った。 エリオット・クロセット・ホーブも、イングヴァール・シーグルソンも監督の作品には出演経験がある役者だ。高橋が「気心が知れたいい役者とスタッフとが、時間をかけて一緒に映画を作っている」と言うと、柳下も「お金という意味ではなくて、贅沢な映画ですよね」と同調していた。
浜瀬将樹