賛否両論!春のセンバツ「21世紀枠」に思うこと…来春は“快進撃”に密かに期待をしています(持丸修一/専修大松戸 野球部監督)
【持丸修一 76歳名将の高校野球論】#53 先日、来春のセンバツの21世紀枠候補校9校が発表されました。 【写真】日本ハム2位・藤田琉生 実業団バレー選手だった両親のDNA…母は全国屈指ママさんチームで現役キャプテン どこも魅力的な学校ですが、その中でも壱岐(長崎)は部員21人全員が壱岐島出身ということもあり、話題をさらっています。 さて、この「21世紀枠」ですが……。存在意義がネット上では毎年のように議論になっていると聞きます。《野球振興のために欠かせない》《門戸を開くことも重要だ》といった声や、《本当に必要なのか》《実力で決めるべきではないか》といった否定的な意見もあるそうです。 私は2つの側面で捉えています。 甲子園を目指して勝利を追求する「勝負師」として見れば、純粋に地方大会を勝ち上がった“野球の強い学校”が全国大会に出るべきでしょう。過去には秋の地方大会の準優勝校ではなく、日頃からボランティアに精を出すなど特色のある学校が甲子園切符を掴むこともあった。そんな現状を素直に受け入れられるかと問われたら、正直、複雑なところはあります。 一方、「教育の一環である高校野球」という面から見ると、重要な要素だとも考えられます。21世紀枠は心から野球が好きで一生懸命に取り組んでいる選手たちにとって希望でもあるのです。かつての出場校の選手たちを思い出してください。誰もが生き生きとした顔で、真剣にプレーしていました。その姿を見たら簡単に否定してしまうのも、いかがなものかと思ってしまいます。 総合すると、「春ぐらい、あってもいいのでは」と考えます。そもそも、本当の王者を決めるのは、夏の甲子園ですからね。 指導者として21世紀枠の出場校の戦い方は参考になる点も多々あります。最初に制度が導入された2001年は宜野座(沖縄)が準決勝進出の大躍進でした。当時、私は藤代(茨城)から同大会に臨んでいたため、現地で彼らの戦いぶりを目の当たりにし、レベルの高さに驚いたものです。 21世紀枠の出場校は大舞台に慣れていないせいか、本番では実力を発揮できないようなケースが目立ちます。それでも、来春のセンバツは前述のような“快進撃”が見られるのではと密かに期待を寄せています。今季から低反発バットが導入されたからです。 今夏の甲子園では下馬評をことごとく覆すようなジャイアントキリングが続出しました。21世紀枠の学校も、戦い方によってはひょっとしたら、ひょっとするかもしれません。 まずはどこの学校が来春の21世紀枠に選ばれるのか。選考委員会は1月24日。結果を楽しみに見守ります。 (持丸修一/専修大松戸 野球部監督)