氷見に豪雨後、大量流木 奥能登から漁具、食器も 住民、心痛め「早く救済を」
●本格回収めど立たず 氷見、高岡両市の海岸に奥能登豪雨発生後の9月下旬から、大量の流木に交じって能登の漁協の漁具や食器など日用品が漂着している。奥能登の団体、会社名が記された記念品もみられる。付近の住民や富山湾の風景を撮りに訪れる写真愛好者らは、災害の深刻さを物語る景色に心を痛め、「早く能登の人を救済してほしい」と思いを寄せている。 【写真】余川さんが回収した奥能登から流れ着いたとみられるプラスチックケース 氷見市の漂着物には珠洲市の仕出し店の店名が記されたケースや興能信用金庫(能登町)の創立60周年を記念した漆器、輪島市や能登町の漁協のプラスチックケース、食器などがある。流木のなかには住宅の柱や鴨居(かもい)といった建材もみられる。 海岸前に自宅があり、20年以上前から海岸清掃を日課にしている氷見市地蔵町の余川弓子さん(82)は「くぎがむき出しの柱が多くて危険だ」と注意を呼び掛ける。奥能登豪雨の発生翌日の9月22日から漂着物は増え始めたといい、地震と水害の二重被災に苦しむ奥能登を「本当に皆さん苦しんでおられる。若ければ現地でボランティアができるのに」と思いやる。 富山県高岡土木センターによると、漂着物が打ち寄せられているのは氷見市で高岡との市境から氷見漁港付近までの3・7キロ区間、高岡市では雨晴海岸を含む2・5キロ区間。氷見市内では氷見土木事務所が9日から緊急撤去作業を行っており、高岡は15日に重機での応急撤去が始まる。ただ、いずれも本格的な回収作業のめどは立っていない。 一方、奧能登からの漂着物とは別に、貝殻が付着したペットボトルや中国語、ロシア語、ハングル語が記されたごみも目立ち、住民からは「景観悪化は豪雨の影響だけではない。根本的な環境改善を市はしないといけない」との声が上がる。 富山を代表する絶景「海越しの立山連峰」の撮影をライフワークに、氷見市の美景を撮り続ける上野俊昭さん(84)=同市本町=は10日、流木や木材で埋もれた砂浜の光景に驚き、カメラに収めた。上野さんは「改めて被害の大きさを実感した。早く能登の人を救済してほしい」と願った。