大分商、2枚看板の必勝リレー 3年前の選手の思い胸に センバツ出場校紹介
3年ぶり7回目出場の大分商は、昨秋の九州地区大会で4強入りを果たした。自慢の投手陣を前面に出し、打線はバットを短く持ち、なりふり構わず食らいつく姿を見せ、就任1年目の那賀誠監督が「こんなに成長するのか」と驚くほどの進化だった。
タイプ異なる2投手
投手を中心に堅い守りで試合のリズムを作り、出塁した走者を犠打や進塁打で送る手堅い野球で勝利をつかんできた。 主戦の児玉迅(2年)から飯田凜琥(2年)に継投するのが必勝パターン。児玉は制球力があり、最速136キロの直球にカーブやスライダーを交えて打ち取る。課題の球速アップのため、伸ばしていた軸足を曲げてから投げるフォームに改造。「カウントを取れる球が欲しい」とカットボールにも挑戦する。
飯田はどんな場面でも動じない度胸があり、変化球主体の巧みな投球で試合を締めくくる。三振を狙えるスライダーのキレには自信があり「ピンチで回ってきても物おじせずに投げられたらいい」と語る。
守備から流れ作る「大商野球」を
守りの要は捕手の二宮力丸(2年)だ。相手打者の構えを見て配球を組み立てるインサイドワークがさえる。強肩も持ち味で、九州地区大会の1回戦では先頭で出塁した走者の2盗を阻止するなど、チームの勝利に貢献した。 打線は、選球眼が良く出塁率の高い豊田顕(2年)と俊足の渡辺公人(2年)の1、2番コンビで好機を作る。勝負強い主将で3番・大道蓮(2年)やパワーのある4番・羽田野颯未(2年)ら主軸が走者を還す。昨秋の公式戦8試合ではチーム合計76安打を放った。力不足を感じ、九州大会後は週2回の筋力トレーニングを実施。練習開始前に白飯を食べ、10㌔近く体重が増した選手もいる。
那賀監督は「一球を無駄にせず、球にくらいつく野球をしたい」、大道は「守備から流れを作る『大商野球』で優勝を目指す」と話す。前回選出された2020年の大会は新型コロナウイルスの影響で中止になった。当時の選手の思いも胸に活躍を誓う。
OBに源田壮亮(西部)ら
1917年、大分市立大分商業学校として創立。32年に県立に移管され、53年に現校名になった。「だいしょう」の愛称で親しまれ、校訓は「士魂商才」「質実剛健」。商業、国際経済、情報処理の3科に720人(2023年1月現在)が在籍し、21年度までの卒業生は約1万8000人。 野球部は1921年の創部で、甲子園には春6回、夏15回出場。春夏合わせて5度の8強入りを果たしている。主なOBには埼玉西武ライオンズの源田壮亮や、広島東洋カープの森下暢仁らがいる。 他の部活動も盛んで、吹奏楽部やソフトテニス部、商業調査部、コンピュータ部などは全国大会で活躍している。