ナマハゲ魅力、もっと広めて 「伝導士」試験20年 秋田・男鹿
大みそかの夜、「悪い子はいねがー」と叫び家々を回る秋田県男鹿市のナマハゲ。 無病息災を願うこの伝統行事の理解と普及を目指す「伝導士認定試験」が、開始から20年を迎えた。今年の試験は12月1日で、担当者は「ナマハゲが地域にとってありがたい存在だということが広まってほしい」と話す。 【写真特集】世界のローカルフェスティバル ナマハゲは「来訪神 仮面・仮装の神々」として、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されている。しかし、その風貌や振る舞いから「人を脅かし、子どもを怖がらせる鬼のような存在」と誤解している人も多い。少子高齢化が進む男鹿市では、成り手となる未婚の若い男性が地元を離れる問題も深刻だという。 ナマハゲが来訪神として親しまれていることを広めたい―。そうした思いから、市観光協会は2004年、伝導士認定試験を始めた。試験前には各地域のナマハゲの特徴や歴史を学ぶ講座を実施。実際の試験では、由来や歴史のほか、ナマハゲの地域ごとの見分け方などをテストする。昨年までに秋田を含む39都道府県から応募があり、1698人が認定された。 合格すると認定証が贈られ、提示すると市内のナマハゲ関連施設の入館料が無料になるなどの特典もある。ただ、認定された後に同市を訪れ、特典を利用する人は多くないのが実情だという。 伝導士がナマハゲ文化を伝える機会を増やそうと、観光協会は毎年2月に行われる「なまはげ柴灯まつり」に注目。22年から観光客にナマハゲについて説明するボランティアを募ったところ、毎年20人ほどが集まっているという。 同協会の佐藤豊事務局長(62)は「友達や家族と訪れ、みんなが男鹿を好きになってほしい」と話している。