ロバート秋山らNHK大河で注目「芸人は芝居がうまい」説!その理由は“ゴールの明快さ”にアリ
お笑い芸人が芝居が巧いと言われる理由
お笑い芸人がなぜ芝居が巧いと言われるのか。それは言葉と身体表現を駆使して、情報を明確に伝えることに長けているからだ。 芸人たちは自身の発想したおもしろいことを観客に正確に、明瞭に、絶妙の間合いで伝える。それで多くの人たちが笑うのだ。冴えた発想は凡人には真似できないが、“伝える技術”や“プレゼン”などのノウハウは彼らに学べるところがきっとある。 明確さで言うと、実はむしろ俳優のほうが、漠然(ばくぜん)とした感情にリアリティを求めたり、人の数だけ感じ方が違うことを目指すあまり、表現をわかりにくくしてしまったりする場合もある。その点、お笑いの場合、ゴールはただひとつ笑いなので、明快なのだ。
芸人から俳優に転身した安井順平が語った、芝居の作り方の違い
お笑い芸人から俳優に転身し、いまや名バイプレイヤーとして欠かせない安井順平に取材したとき、こんな話を聞いた。 お笑い芸人と役者の芝居の作り方の違いを、医者を演じるときを例にして、役者はまず医者とはどういう仕事か、あらかじめ文献を調べたり、あるいはその現場を見て学習したり、所作を何度も練習し、いかに自然にできるようになるかというような練習も行うものだが、芸人だった安井は、「『その人に見えちゃえばいい』という考え方なんですよね」と言った。 「『メスを持った瞬間の姿形がそれっぽい』というような作り方なんです。そういうアプローチはコントの作り方の延長にあるんです」と(+act. 2023年5月号より)。 ちなみに安井は現在『アンメットある脳外科医の日記』(カンテレ)で病院の院長を鮮やかに演じている。 万人が瞬時に理解できる記号的な表現を磨きあげる。この考え方に近いと思えるのが、ロバート秋山であろう。『光る君へ』の実資は、秋山がいろいろな職業の特徴を見事に演じる企画『クリエイターズ・ファイル』のひとつのようで、好意的に受け入れられている。
原田泰造、3時のヒロイン福田による生活者のリアル表現
1月期、福田麻貴(3時のヒロイン)が『婚活1000本ノック』(フジテレビ)でヒロインを演じて話題になった。婚活する女性のリアリティーがあって女性視聴者の共感を得ると好感触だった。 以前なら、こんな人は実際にはいないというような理想のヒロイン像を、憧れのキラキラのアイドルやザッツ女優が演じていたが、昨今は、もっと身近な雰囲気が親しまれる。そういうときに、お笑い芸人は最適なのだ。 生活者のリアル表現の最高峰といっていいのが原田泰造であろう。 同じく1月期の『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか』(フジテレビ)で彼が演じたのは、昭和の価値観に縛られた人物。家でも会社でも煙たがられているおじさんの放つ昭和の暑苦しさから、おずおずと思慮深い人物にアップデートしていく変化の表現は、若い世代も受け入れようとする歴史的建造物のようなムードがあった。