WHO警告!「孤独」が人と国に与える経済的な損失や和らげる方法
多くの人にとって長期休暇は、家族や友人、恋人と一緒に過ごせる楽しい時間。でも、これまた多くの人にとっては、自分がひとりぼっちであることを思い知らされるだけの辛い時間。 【写真】ミレニアル世代の間で孤独が蔓延している理由。孤独からのストレスに打ち勝つ方法とは? 世界保健機関(WHO)は、孤独感および孤独感に起因する疾患が次の大きな公共衛生上の問題になるとして、次のような声明を発表している。 「質の高い社会的つながりは、私たちの心身の健康とウェルビーイングに不可欠です。社会的な孤立と孤独感は、高齢者を含む全ての年齢層の人にとって重要であるにもかかわらず放置されている“健康の社会的決定要因”です」 「社会的な孤立と孤独感は広く蔓延しており、高齢者の4人に1人は社会的な孤立を感じ、思春期の若者の5~15%は孤独感を抱えていると推定されます。社会的な孤立と孤独感は、心身の健康、生活の質、寿命に深刻な影響を及ぼすことが数多くの研究から分かっています。社会的な孤立と孤独感が死亡率に与える影響は、すでに実証されている喫煙、肥満、運動不足といった危険因子の影響に匹敵します」。オーストラリア版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。
孤独とは?
メンタルヘルスをサポートするオーストラリアの慈善団体『Lifeline』は、孤独感を「いまより大きな社会的なつながりを求める気持ち」と定義している。「孤独感は1人でいることとは違います。森の中の小屋で人目に触れない1人の時間を過ごしていても、孤独を感じないことはあります。逆に、にぎやかなパーティーで顔なじみの人に囲まれているのに、自分が完全に孤立している感じがすることもあります」 孤独感という言葉は、人間関係の量よりも質に関係している。社会的つながりに対する欲求は人によって違うけれど、大事なのは友達の数よりも、友達との距離が近いと感じられること。
孤独が人と国に与える経済的な損失とは?
KPMGとグラウンドウェルズ財団の合同調査報告書によると、オーストラリア人の4分の1以上は頻繁に孤独を感じており、その中には若い成人の3分の1以上が含まれている。 孤独感は感情的な負担であると同時に身体的な負担でもあり、それが心身の健康に与える影響を緩和するための医療支援は、オーストラリアの経済に年間推定約27億ドルの損失を与えている。 また、孤独感は“サイレントキラー”とも言われており、孤独な人は死亡リスクが26%高くなる。 KPMGメンタルヘルス・アドバイザリーリードのアンドリュー・デンプスター氏は、次のように述べている。「孤独感は多くのオーストラリア人にとって身近な公共衛生上の問題ですが、その影響が十分認知されていないため、軽視されるリスクを抱えています。孤独感が心身の健康に悪く、社会経済に深刻な影響を与えることは、これまでの研究で確かに証明されています」 英国と日本は、この問題の理解と解決、そのために必要なリソースの提供を目的とする孤独・孤立対策担当大臣を任命した。それを受けて豪慈善団体『Ending Loneliness Together』CEOのミシェル・リー氏は、「孤独はオーストラリアの地域社会における大きな問題」とした上で、オーストラリア政府に孤独の撲滅に向けたさらなる努力を要請した。