鳥山 明デザインの直筆サイン入り「QVOLT」が現存していた!「原寸大チョロQ」を実現した「Qカー」シリーズとは
最初に登場したのはいかにもチョロQっぽい「Qi(キューノ)」
チョロQモーターズが設立された2002年7月9日に同社から「Qi(キューノ)」、「U(ユー)」「QQ(ナインナイン)」の3車種が発表された。それら3台の中で最初に市販されたのがキューノである。 キューノのボディサイズは全長2200mm×全幅1100mm×全高1479mm。その生産台数は車名にちなんで限定999台とされた。特定のクルマをデフォルメしたモノではないが、いかにもチョロQ的なオリジナルのボディデザインとなっている。 これは999台限定で生産されたキューノの中でも、さらに99台限定で先行生産された初期ロットモデルだ。赤、黄、黒の基本色に加え、13色のオプションカラーも用意されていたキューノは、まるで遊園地の乗り物のようなコミカルな外観で、FRP製のボディはドアも屋根も持たない。 当時Qカーの発表会会場で佐藤慶太社長(当時)が「試乗を終えて戻ってくる人が皆ニコニコしていた」と語っていたのも納得の、まさに原寸大のおもちゃだ。
第2弾は屋根も荷台もある「U(ユー)」
こちらのユーはフロントウインドウにワイパー、ルーフや荷台といった装備も備え、実用性を高めたモデルとなっている。 発表会の時点でユーはQカー第3弾としてレンダリング・スケッチだけが発表されていたが、実際にはQカー第1弾のキューノに続いて市販されたのはこちらのユーだった。 実用方面にシフトしたユーには、ベーシック、タウン、サーフ、ペット、フィッシングと呼ばれる各種仕様が用意され、オーナーのライフスタイルに合わせて選択できた。これは当時「ライフエンタテインメント企業」を標榜していた同社の方向性にも合致するものだったろう。一説によると200台程度が生産されたと言われている。
幻のプロトタイプ「2010」が残っていた!
ところでQカーの市販に先駆けて2002年初頭に行われた発表会では、「未来のスポーツカー」のイメージをチョロQのデザイン言語に落とし込んだ「2010」と、レトロフューチャーな「モダンタイムズ」の2車種が展示された。 発表会でお披露目された2010とモダンタイムズはあくまでもプロトタイプであり、そのままの形で市販されることはなかった。未来的な2010は、よりチョロQらしい丸みを帯びたデザインとなりQi(キューノ)と名を変えたうえでQカーの第1弾として市販された。 完全なショーモデルとして作られた2010は世の中に出回ることはないだろうと思われていたが、水口さんは数年前、当時2台のみが制作された2010が現存することを知り、関係者と交渉。その熱意にほだされたかたちで、ついに2010を入手した。 2002年の発表会以来、約20年にわたり倉庫に眠っていたという2010は、各部に傷みが見られ不動状態にあったが、水口さんは全てのバッテリーを新品と交換、破損箇所の修繕など、自らの手でレストアを行い、2023年に晴れてナンバーを取得したのである。
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