宮島の町家、交流センターに活用へ 廿日市市 2027年度のオープン目指す
広島県廿日市市は、宮島の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)にある町家「若狭家」を購入し、交流センターとして活用する方針を決めた。江戸期の伝統的な造りを残す町家を活用・公開し、観光客をもてなし、住民活動の拠点とする。改修工事を経て、2027年度のオープンを目指す。 【地図】若狭家 町家は観光客が入る宮島桟橋に近い東町の「町家通り」沿いにある。木造2階建て延べ約130平方メートル。江戸期の建築で、地域で最も古い年代の建物の一つという。 間口が狭く奥行きが深い造りで、入り口から中庭に続く土間の「通り庭」に沿い、「ミセ」「オウエ」「ザシキ」と呼ばれる部屋が続く。現在は空き家で、立地が良く、宮島の町家の特性を色濃く残すことから、活用を決めた。 現状は、外装にアルミサッシやモルタルが使われており、市は今後、木の格子など昔のたたずまいを再現する方針。24年度に保存活用の方法などの計画を立てた上で着手するという。 市は、開会中の市議会定例会に提出した23年度一般会計補正予算案に町家の購入費1430万円を計上。うち、930万円は国の補助を見込む。議決を経て、今月中にも所有者と契約する。 市宮島企画調整課によると、宮島の町家は、住民たちの活動で公開されるケースはあるが、常設の公開施設はない。そのため市は、20年3月に策定した宮島まちづくり基本構想で町家を活用した「町並み交流センター」の整備を上げている。 宮島の来島者数は昨年、過去2番目となる465万人超。ことしはそれを上回るペースとなっている。同課は「宮島の町家の暮らしぶりを中からも外からも感じてもらい、重伝建地区の保存のモデルとしても発信したい」としている。
中国新聞社