自公候補破って栃木・鹿沼市長選で初当選、松井氏は事件を機に政界へ
前立憲民主党県議と前自民党県議による争いとなった栃木県鹿沼市長選は9日に投開票され、前立憲県議の新顔、松井正一氏(58)が初当選した。自民と公明が推薦した新顔、小林幹夫氏(70)は及ばなかった。 【写真】栃木県鹿沼市長選のポスター掲示場=2024年6月2日午前11時21分、同市、重政紀元撮影 選挙前に引退を表明した佐藤信市長も元民主党県議で、松井氏は後継の位置づけだった。松井氏のこれまでの経歴や政治的な考えを聞いた。 市職員19年、市議5年、県議15年と40年近く地方自治に携わってきた。 議員を目指すきっかけは市職員時代にあった暴力事件だ。廃棄物処理業の許認可を担当していた職員が逆恨みされ、拉致・殺害された。「もっと安全な市役所にするため、市長と対等に意見を述べ合えたら」という思いだった。 議員になってからは、民主党時代の県連幹事長として県民の要望を国に上げるといった活動を経験。議員提案条例など政策作りにも力を入れてきた。市民に情報公開を進めながら、ともにまちづくりをしていくという理想を第一に掲げる。 現職の佐藤信市長と同様の政治経歴を歩み、後継と位置づけられる。「これだけ厳しい世の中で財政健全化などを遂げた」と評価し、「佐藤市政をベースにしながら発展を」というスタンスだ。 政策の柱には子育て・育児を第一に掲げるが、争点となっている学校給食費の完全無償化の実現には条件をつける。「自治体の財政力にかかわらず、国が制度設計した方がまっとうなものになる。市単独でするのは無理があり、現実的な判断がいる」
朝日新聞社