特撮の歴史 後世に 特技監督佐川和夫さんの証言をホームページに公開 円谷英二との思い出語る
福島県や須賀川市などでつくる特撮文化推進事業実行委員会は、市内出身で「特撮の神様」と称される円谷英二に師事した特技監督の佐川和夫さん(84)の証言を映像と文字にまとめ、市のホームページなどで公開した。円谷との出会いや撮影現場での思い出などを語っている。 特撮全盛期に活躍した制作者の多くが高齢となる中、当時の撮影の様子など特撮技術者の言葉を記録し、後世に伝える目的。「特撮レジェンドオーラルヒストリー」と銘打ち、2022(令和4)年度にインタビューを実施し、公開の準備を進めていた。 佐川さんは1963(昭和38)年に円谷特技プロダクション(現円谷プロダクション)に入社した。ウルトラマンシリーズや「バトルフィーバーJ」などの作品に携わり、アメリカや台湾など海外でも活躍。実行委を構成する認定NPO法人アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)が協力し、樋口真嗣さん、原口智生さん、三池敏夫さんが聞き手を務めた。
佐川さんは特撮の世界の厳しさを「仕事は教えてくれない。やっているのをのぞいてみて、自分で覚えなさいってやつなんだよ」と振り返った。大学生時代、円谷の家を突然訪ねた際に気さくに対応してくれた逸話を披露。カラーテレビを持っていた円谷の家で一緒に、「ウルトラマン」第1話を見た経験などを話した。専門的な機材や知識を踏まえ、タイトなスケジュールの中で作品制作に当たる様子を生々しく語っている。 40分にまとめた本編を収録したDVDを須賀川特撮アーカイブセンターで貸し出している。センター内でのみ視聴できる。3分ダイジェスト版の動画、テキストデータは同センターのホームページから閲覧できる。実行委は「学術的な要素を踏まえ、往年の特撮技術者の貴重な証言を後世へと伝えたい」としている。