【ラグビー】初の単独で花園予選3回戦進出。折尾愛真[福岡]の挑戦。
福岡は北九州市にある折尾愛真(おりおあいしん)高校ラグビー部は、2年前に創部された新しいチームだ。 監督を務めるのは森山智(さとし)。語気を強めて言う。 「本気で花園出場を目指しています」 その情熱はホンモノだ。 森山監督は現役時代、近鉄ライナーズや宗像サニックスブルースに在籍したFL。引退後は当時サニックスの監督だった藤井雄一郎氏(現・静岡BR監督)のもとでリクルーターを担い、チームを離れた後は本社の人事部で課長を務めていた。 しかし、順調に重ねてきたキャリアを突如、手放す。 50歳にして、教員になることを決めたのだ。 きっかけは何気ない会話からだった。 森山監督は当時、高校生を採用するためにいろんな学校を回っていた。その1校が折尾愛真だった。 「数年前に女子のラグビー部を作ろうと動いたけど、なかなか上手く集まらなかったようで。そんな話を進路指導主事の船津先生から聞いていて、でも先生は『まだ諦めていません』と。それなら何か手伝えることがあれば連絡ください、というお話からでした」 後日、ラグビー部の創設が決まり、その指導者に、と打診される。 まさかの誘いに驚いたが、「これは滅多にない機会ではないか」と思えた。 「僕は玄海ジュニアで長年コーチをさせてもらっていました。土日だけでしたけど、子どもたちを指導するのがすごく好きで。新しい目標をいただいていた。先生になればそれが土日だけでなく、月から金までもが僕の頑張る糧になる。ゼロからラグビー部を立ち上げて、自分の考えるチームを作れる人はそうそういません。夢があるなと思いました」 だから目標は大きく持った。部員たちへの声かけ一つひとつに、熱がこもる。 「新卒で教員になったわけではありませんから。1年1年が勝負です」 ただ、初めて3学年が揃う今春の時点では、男子部員は13人(3年生4人、2年生7人、1年生2人/加えて女子選手2人、マネージャー5人)しかいなかった。 学校は部の強化に協力的だったが、闇雲に部員を集めようとはあえてしなかったのだ。