夏のドライブ映えスポット「橋の上」は駐車禁止? うわさ検証でみえてきた意外な事実
“橋の上駐車禁止説”はなぜ広まったのか
ではなぜ、「橋の上駐車禁止」説がまことしやかに流布したのか。 第一に、道交法には『当該車両の右側の道路上に3.5メートル(道路標識等により距離が指定されているときは、その距離)以上の余地がない場所においては、駐車してはならない』とある。日本に架かる橋のほとんどは欄干のない小さなもので道幅に余裕もなく、必然的にこの条件を満たしてしまう。そのため駐車禁止となりうる。結果、「橋の上は駐車禁止」がドライバー間で広まった――。 次に、冒頭のリンボーブリッジしかり、横浜ベイブリッジ(神奈川県)、明石海峡大橋(兵庫県)、伊良部大橋(沖縄県)など、映えスポットで知られる巨大ブリッジのほとんどが原則駐車禁止となっている。それらは訪れる人も多く、影響力もあり、「橋の上は駐車禁止」説が広く定着してしまった可能性がある。 さらに道交法では、坂の頂上付近は無条件で駐車禁止場所に指定されている。急勾配のある橋も一定数存在しており、その頂上付近は当然、駐車禁止だ。そうしたことを拡大解釈し、「橋の上は駐車禁止」がいつのまにか浸透したという説もある。
結局、橋の上での撮影はNGなの?
結局のところどうなのか…。「橋の上での駐車」は法律的にはOK。だが、原則駐車禁止にしている橋も多く、橋の大きさや形状によっては禁止の場所やケースもある。それらから、「橋の上は駐車禁止!」説が広まってしまった…。それがうわさの真相のようだ。 そうなると、橋の上での撮影は基本、問題なしに思えるが…。結論からいえば、安全面からは避けた方がいいといえる。 「橋の上は無条件に駐車禁止」。そう思っている人も少なからず存在している。一般的には「橋の上にクルマは止まっていない」という前提で車を走らせているドライバーが多いということだ。 そうなると、ドライバーの前方への注意が緩慢になりがちで追突事故の可能性が高まる。もし、橋の上に駐車して愛車とツーショット撮影中に追突されれば、弾みで撮影者が橋の下へ転落するなどのリスクもある。 せっかくの夏休み、気を緩めるのは結構だが、自分の身を守るという視点からいえば、不用意な行動はできる限り避け、最優先は「安全に楽しくドライブ」という意識だけはしっかりと持ち続けた方がいいだろう。
山本晋也(やまもと しんや) 1969年生まれ。編集者を経て、2000年頃よりフリーランスとして活動開始。過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コラムニストとして執筆活動を継続中。二輪と四輪のいずれも愛車とする視点から次世代モビリティを考察するのもライフワークのひとつ。
山本晋也