パワハラでうつ病になり、休職しました。「働けないなら会社をやめてほしい」と言われたのですが、従うしかないでしょうか。
裁判でパワハラを訴えるなら業務上の疾病に当たるかがポイント
パワハラで相手側を訴えたいときには、業務との因果関係がある「業務上の疾病」と認められ、労災保険給付の対象となるかがポイントです。業務上の疾病は、原則として以下の3つの要件を満たす必要があります。 ・労働の場に有害因子が存在していること ・健康障害を起こしうるほどの有害因子にさらされている ・発症の経過および病態が医学的に妥当である パワハラが業務上の疾病と認められた場合は、裁判で「雇用関係の継続(解雇の撤回)」「解雇期間中の未払い賃金」「慰謝料」を請求できる可能性があります。
パワハラで訴えた場合の慰謝料
表1の裁判例を見ると、パワハラで訴えた場合の慰謝料は、個々のケースによって20~600万円と幅広いことが分かります。 表1
※厚生労働省「パワーハラスメントの定義について」より筆者が作成 弁護士に依頼をしてパワハラを訴える場合、一般的に着手金は20~30万円前後、成功報酬が30~50万円前後かかるため、慰謝料が50万円程度にしかならない場合、割に合わない結果となることも考えられます。 そのため、パワハラで訴えるかどうかは、弁護士と相談した上で慎重に判断しましょう。
退職勧告は断わることができる
会社から「やめてほしい」と退職勧告をされたとしても、一方的な解雇とは異なるため、労働者が自由に意思を決定できます。例えうつ病で休職していたとしても、労働基準法第十九条で「療養のために休業する期間」また「その後三十日間」の解雇が禁止されているため、すぐに仕事を失うことはありません。 万が一労働基準法に違反して会社が強制的に解雇をした場合、パワハラが業務上の疾病と認められれば、裁判で「解雇期間中の未払い賃金の支払い」や「慰謝料」を請求できる可能性があります。 ただし、弁護士費用と訴訟額によっては、裁判を起こしても割に合わない場合もあるので、労務問題の経験が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。 出典 e-Gov 法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法 厚生労働省 パワーハラスメントの定義について 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部