磯村勇斗

2021年7月に放送・配信された、WOWOWオリジナルドラマ「演じ屋」。そのシーズン2が連続ドラマＷ-30「演じ屋 Re:act」として5月24日(金) 夜11：00より放送・配信され、前回に引き続き奈緒と磯村勇斗がダブル主演を務める。「演じ屋 Re:act」は、客から依頼された役になりきる職業“演じ屋”のアイカ(奈緒)と“演じ屋”という職業に魅了されその一員となったトモキ(磯村)が警察の要請でホームレス襲撃事件の犯人を見つけ出すためおとり捜査に乗り出すと言った内容になっているようだ。今回は、主演の1人、磯村に本作から感じ取ったことをインタビュー。話を聞くと家族や演じることへの思いを熱く語ってくれた。 【撮りおろし12枚】磯村勇斗と至近距離ショット ■理不尽を指摘して、仕事がなくなるなら「それはそれでいい」 ――前作の「演じ屋」から3年ぶり。続編を制作することを聞いたときの感想を教えてください。 多くの方にシーズン1を見ていただけたんだなって思い、すごくありがたいなと思いました。撮影は昨年(2023年)に行なったので“「演じ屋」ファミリー”のみなさんに会ったのは2年ぶりだったんですけど、みなさんそれぞれがいろいろな現場を経て、パワーアップしていて。そこに加えて新キャストの方もいたので、また違ったかたちの「演じ屋」になるんじゃないかなとワクワクしました。 ――久しぶりのトモキ、すんなり戻れましたか？ そうですね。みんな変わっていなかったこともあり、自然と戻ることができました。 ――トモキを見ていて、正義感に溢れた役だなと感じました。 そういう部分は、非常に共感するのでスッと入りやすかったです。僕は理不尽なことは絶対に許せなくて、相手がどんなに大人の人であろうと伝えちゃうタイプなので「わかるな…」って。 ――目上の人に対しては、なかなか自分の意見を言えずに我慢してしまう方も多い気がするのですが、磯村さんは言えるんですね。 相手が気づいていないだけの可能性もあるので、「ちゃんと伝えていかないとな」と思うんです。だから、僕の場合は、気になるところは絶対に聞いて意見交換をして、相手の考えを知ろうとしますね。 それもわりとすぐに。よく会う人だったら、ゆっくり考えてから言葉を選んで伝えることができますけど、仕事のときに起こる理不尽は、その場ですぐに解決しなきゃいけないなと思うので。 ――なるほど。後輩の方から見たら頼もしい先輩ですね。 たしかに、後輩のためにという気持ちは強いかもしれません。デビューしたころは自分の中でもどかしさを感じていたのですが、20代中頃からは後輩のためにも言っていこうって。 でも、それは僕だけじゃなくて、同じように「徐々にできることをやっていきたい」って考えている心強い仲間がいて。そういう仲間たちのおかげもあって、言えるんだと思います。理不尽な環境でストレスを抱える人が救われるのなら、自分が何かを言って、仕事がなくなったとしても、それはそれでいいと思います。 ■血が繋がっているだけが家族ではない ――久々の現場入りをし、前作から変化した点はありますか？ 今回は“「演じ屋」ファミリー”になった状態からのスタートだったので、ファミリーの1人として任務を遂行していくトモキというのは大きな変化だなと感じました。家族の一員としてのトモキにフォーカスを当てることを意識したくて。 シーズン1とシーズン2のあいだに、きっとトモキは他の仕事をファミリーとして一緒にやっていたと思うので、少しなじんでいる感じを出したいなと。 ――今回は物語の内容も少し重ためでしたが、ストーリーを通して新たに気づいたことはありますか？ この作品に限らないことですが、家族の形について考えさせられました。この業界に入るまでは、家族って血が繋がっているという認識だったんですけど、そうじゃない形もあると知って。「家族ってなんだろう」と考えることが増えましたね。「血」に変わるもの、魂のなかでの繋がれる部分…なんと表現したらいいのかはわからないですけど、会いたくなるような人、戻りたくなるような場所なのかなって。 ――磯村さんにとって、家族とはどんな存在でしょう？ 本当に大切な存在だなと。親と兄弟、みんな仲が良いのもあって、家族がいるから頑張れるみたいなところはあります。いまだに何かあれば報告しますし、「見たよ！」って連絡が来ることもたくさんあります。 といっても、若い頃は頻繁にけんかをしていた時期もありましたけどね。だけど、一人暮らしを始めて、母親のありがたみがわかって。地元にいた18年間の感謝を、今は返していってるような感覚です。 ■「誰かを救う力、エネルギーが演じることにはある」 ――本作のテーマの1つに「演じることで人々の心は救えるのか!?」というものがありますが、磯村さんご自身は演じることで人を救うことができると考えていますか？ 自分の出た作品や役によってはお手紙とかコメントをいただくんです。「闘病中で…」とか「苦しい思いをしていたけども…」という。そういう時に自分の出ている作品とか役を見て生きる勇気を感じてくれる人がいることを知って、少しは救う力になれているんじゃないかと思えていますね。見る人全員に対しては、無理かもしれないですけど、誰かを救う力、エネルギーが演じることにはあるなと思います。 ――そういう意味で言うと、俳優という職業は反響も影響力も大きな仕事だなと感じます。そんな中で、磯村さんは2023年たくさんの賞を受賞されました。今後はどんな役者を目指そうと考えていますか？ たしかに2023年から2024年にかけて、いろいろな賞をいただきました。それに対しては、率直にうれしい気持ちが大きいです。でも、だからといって浮かれることは全くないです。 ――なぜでしょう？ やはり携わってきた作品たちは、僕1人の努力というよりも、スタッフ、キャストみんなで一緒に作りあげたことに対する評価だと感じています。だから、これからも頑張っていかなきゃなと思うんです。2024年は、また違う作品も公開されるので、それをしっかり見てもらえるように、頑張りたいです！ ◆取材・文／於ありさ 撮影／友野雄 ヘアメイク／佐藤 友勝 スタイリスト／笠井 時夢 衣装協力／マリアーノ、ワークスタッド・ミュンヘン