トランプ2.0の初日に何が起きる?不法移民の摘発強化・強制送還に向けた大統領令を発出か
3人の関係筋によると、トランプ次期米大統領は大統領就任の初日に移民法の執行を強化し、合法的な入国プログラムを縮小する大統領令を発出すると予想される。トランプ氏就任で予想される事柄をまとめた。 <就任当日の計画は> トランプ氏が提案する大統領令は、連邦移民当局に犯罪歴のない人々を逮捕する権限を拡大させるほか、米メキシコ国境に展開する部隊の増強や、国境の壁建設を再開するというもの。 トランプ氏はまた、近年数十万人の移民が合法的に入国できるようにしたバイデン政権の人道プログラムを終了し、滞在期限が切れた人々に対して自主的な出国を促すと予想されている。 バイデン大統領の任期中、移民の逮捕者数は過去最高に達し、米国の国境警備に負担がかかっている。だがバイデン大統領が新たな国境規制を導入し、メキシコも取り締まりを強化したため、今年は不法越境が劇的に減少した。 米国土安全保障省は、2022年には合法的な滞在資格を持たない移民が1100万人いると推定しているが、この数字は増加する可能性がある。 <この取り組みを主導する人物は> トランプ氏は、トム・ホーマン氏が「国境管理責任者」になると発表した。1期目のトランプ政権で2017―18年まで、米移民税関捜査局(ICE)の局長代行を務めた同氏は、新政権の国境警備計画において中心的な役割を果たすとみられている。 また1期目で移民政策の立案者だったスティーブン・ミラー氏が、政策担当の次席補佐官として復帰する予定だ。 トランプ氏はこのほか、国土安全保障省長官にサウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事を指名するとみられる。同省の広範な任務には国境警備も含まれる。 ノーム氏は不法移民に対して強硬な姿勢を取っている。近年は米国とメキシコの国境をたびたび訪問しており、1月には同国境を「戦場」と呼んだ。 <強制送還の指針変更の可能性> 関係筋によると、重大犯罪歴を持つ人々を強制送還の優先対象とし、非犯罪者に対する執行を限定したバイデン政権の指針をトランプ氏は撤廃する意向だという。 トランプ氏の大統領令は、重罪で起訴された人々と、米国に滞在するための法的手段を使い果たした人々を優先して強制送還させるものとなる。 一方で、そのほかの強制送還の可能性がある移民を当局が逮捕することに制限は設けられない。 ただトランプ氏の政権移行への取り組みはまだ初期段階であり、1月20日の就任式までに変更される余地も残っている。トランプ氏の広報担当者はコメント要請に応じなかった。