徳島県内神社、氏子減少で運営厳しく お守りや御朱印、関心向上へ工夫凝らす
過疎化による氏子の減少などに伴い、厳しい運営を余儀なくされる神社が県内で増えている。活動自体ができなくなり、他の神社に合併される事例もここ数年で相次ぐ。神事に対する住民の関心も低下しつつあり、一部の神社では、特色あふれるお守りや御朱印を用意するなど、住民の興味を引こうと工夫を凝らしている。 徳島ラーメンの名店、一度は閉店も後継者現れ復活 美波町の日和佐八幡神社は、町人口減少のあおりを受けている。永本金二宮司(74)が現在の役職に就いた1999年の町人口(当時は日和佐、由岐両町)が9862人だったの対し、今年3月末は5831人と4割減った。初宮参り、地鎮祭などで神社に入る収入は99年に比べて2割以上減った。宮司の息子の永本嘉彦禰宜(ねぎ)(50)は「県内のどの神社も抱える問題だと思う」と厳しい表情で語る。 地元住民も危機感を募らせ、サポートする。秋祭りの太鼓屋台「ちょうさ」の担ぎ手不足に歯止めをかけるため、有志らが2010年に保存会をつくり、継承に励んでいる。氏子青年会も神事に積極的に関わる。 永本禰宜は「他の神社にはない支援で、恵まれている。人口が減り続ける中、氏子との結び付きを今後も大切にしていかないといけない」と言う。神事への関心を持ってもらうため、毎朝の「朝拝」を動画に収めてX(旧ツイッター)に配信。地元イラストレーターがデザインした御朱印も境内に並べ、人気を呼んでいる。 県内の神社数は近年減っている。県神社庁は、地域に住民がいなくなるなどして活動ができなくなった神社を他の神社と合併させる「不活動神社対策事業」を19年から4年かけて初めて実施。19年に1301カ所あったのが22年には1274カ所に減った。 日和佐八幡神社は「兼務社」として町内にある別の8神社の神事をつかさどるが、うち1カ所の氏子が3軒に減ったため、日和佐八幡への合併協議を進めている。 県内の都市部では、神社への関心を持たない人が増えている。鳴門市撫養町の宇佐八幡神社は秋祭りのときに参拝する人が減少。宮崎祥悟宮司(36)は「かつては神仏に手を合わせることが当たり前だったのが、良くも悪くも全国的にそうでなくなってきている」と言う。 足を運んでもらう機会を増やそうと、21年から桃の節句など年中行事に応じて手水(てみず)舎に色とりどりの花を飾り付ける「花手水」をつくり、神社のインスタグラムでも発信している。社殿にはタイやサクラをモチーフにした5種類のおみくじのほか、約40種類のお守りを用意している。 宮崎宮司は「まずは神社に来てもらうきっかけをつくりたい。祈ることで心の安らぎを得て、最終的には感謝の気持ちを持って日々を過ごしてもらえる人が増えれば」と話している。