年を取ると労働収入も増えず、そしてお金は借りにくくなります。どうしても生活費が足りなくなったら、頼れるものはありますか?
2021年より始まった物価高は高止まりが続き、光熱費の値上げも定期的に実施されています。「同じ暮らしをしていても、支出が増え続けて貯金ができない」「このままでは生活費が足りなくなるかもしれない」といった不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 幅広い世代で利用できる支援制度を知っていれば、心強いでしょう。本記事では、生活費が足りなくなり周囲に頼る人もいない場合に利用できる公的支援について紹介します。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
生活に困窮したら生活困窮者自立支援制度の利用を検討する
失業や病気、家族の介護などの理由で経済的に困窮しており、このままでは最低限度の生活を維持するのが難しい方を対象とした支援制度の一つに、「生活困窮者自立支援制度」があります。この制度は、仕事や住まいの相談、家計の見直し、子どもの学習・生活習慣の改善などを行って、困窮者が安定した生活を立て直すサポートをしてくれる制度です。 各自治体に窓口が設けられており、相談に行くと一人ひとりの状況に応じて適切な支援プランを作成してくれます。相談者の希望を尊重してくれるので、家をはじめとする財産を処分するように言われたり、紹介したところで働くように強く迫られたりはしません。 ただし、「明日食べるお米を買うお金がない」といった、緊急にお金が必要な場合などには対応しきれないケースもあります。そのため、相談は早めに行きましょう。早く相談するほど、選択肢は多くなる傾向にあります。
生活福祉資金貸付制度を利用する
勤労意欲があって働けるものの、仕事と手持ちのお金がないといった場合は、「生活福祉資金貸付制度」が利用できます。都道府県社会福祉協議会が実施主体となっており、都道府県内の市区町村社会福祉協議会が窓口となっている公的な貸付制度です。 低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯等世帯単位など貸付条件を満たしていれば、各世帯の状況に合わせた資金を低金利、もしくは無利子で貸し付けてくれます。連帯保証人を立てる場合は無利子で、連帯保証人を立てない場合も年1.5%の利子で借りられるので、カードローンや消費者金融で借金をするより返済の負担をおさえられます。 生活困窮者自立支援制度を利用して生活を立て直したものの、給料日までの生活費がないといった場合も利用できます。 ■持ち家がある場合は不動産担保型生活資金が利用できる場合もある 持ち家はあるものの生活費が工面できない場合や、持ち家を処分したら住む場所がなくなるといった場合は、「不動産担保型生活資金」が利用できます。条件を満たした居住用不動産を担保に生活資金を貸し付ける制度で、土地評価額の70%程度、月30万円以内まで貸してくれます。 利用できる方は、原則65歳以上で構成される高齢者・低所得世帯など一定の条件があります。例えば、年金だけでは生活できないけれど家を処分してしまうと新しい家が借りられないといった高齢者が利用すると、生活の不安がなくなって持ち家に住み続けられます。 自分が利用できるか知りたい場合は、在住の地域にある社会福祉協議会や、自治体の福祉課などに相談してみましょう。 ■公的給付制度や貸付制度を申請が受理されたが、支給開始までのお金が必要な場合 公的給付制度や貸付制度の申請を行ったものの、すでに住まいもなくネットカフェやホテルに泊まるお金もないといった場合は、「臨時特例つなぎ資金貸付制度」が利用できます。この制度は、公的貸付制度や公的給付制度の申請を受理された後、貸し付けや給付が始まるまでの間の生活費が工面できない方を対象としています。 貸付金額は10万円以内で、連帯保証人は不要です。利子もかかりません。貸し付けや給付が始まったら1ヶ月以内の返還が必要ですが、利子が付かないぶん消費者金融を利用するよりも返済の負担をおさえられます。