松尾潔「人権軽く見ている」水俣病被害者団体のマイク遮断を痛烈批判
熊本県水俣市で行われた水俣病患者・被害者団体と伊藤環境相との懇談で、団体側の発言中に環境省の職員がマイクの音を切った問題で、伊藤大臣が水俣市を訪れ団体の代表らに謝罪した。この問題について音楽プロデューサー・松尾潔さんは5月13日に出演したRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で「人権を軽く見ている」と批判した。 ■時間がかかりすぎる国の対応に怒りを覚える 5月1日に伊藤信太郎環境大臣と水俣病の患者団体との懇談会が開かれた際、環境省の職員が「一つの団体の発言時間は3分」と上限を決めて、団体側の発言を遮りました。あれを見て怒りの感情を抱かなかった人はいないと僕は思うんですが、きょうはこのことを改めて考えてみます。 僕は1968年、昭和43年生まれですが、水俣病は僕が子供の頃にはもう認識されていた公害です。学校の社会の授業で習ったと記憶していますが、水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそくを四大公害病といいます。 これらの公害病は「今でも被害に遭った方が苦しんでいる」ということが大前提としてあります。解決にいったいどれだけ時間かかっているんだろうかと思います。もちろん「どれだけ時間かかっているのか」というのは、癒えることのない痛みや病ということもありますが、国と患者たちとの意思疎通が未だにうまくいかないという意味で、怒りの感情を覚えずにはいられません。 ■3分の制限時間は人権軽視 そもそも発言時間が3分間って、本気で患者の話を聞こうという気持ちがあるのでしょうか。普通に考えて、われわれがスピーチをするときに3分だと、挨拶程度で終わってしまいますよね。これはまったく儀式的なもので、ガス抜きと言われても仕方ないという屈辱的な時間設定だと思います。 初めから本気で聞く気がないと思われても仕方ないのに、そのうえ音声を強制的に切ってしまう。しかも予め団体側に「3分です」と伝えておくはずだったものを「メモを読み忘れた」と釈明していますが、なんにせよ杜撰極まりないし、本当に人権を軽く見ているんだなと思ってしまいます。