アニメ「WIND BREAKER」

TVアニメ「WIND BREAKER」(MBS/TBS系、木曜深夜0時26分/ABEMAアニメチャンネルにて地上波同時放送)の放送が4月4日(木)よりスタートした。原作は、にいさとるが「マガジンポケット」(講談社)で連載中の人気コミック。“新世代ヤンキー漫画”として、男性のみならず女性の読者からも支持を受けている。その理由を3つの視点から分析してみた。 【写真】圧倒的支持を集める防風林の総代・梅宮一 ■１：街の英雄として描かれる新しいヤンキー像 中高生の非行や校内暴力が社会問題となっていた1980年代。「ビー・バップ・ハイスクール」(きうちかずひろ/講談社)、「ろくでなしBLUES」(森田まさのり/集英社)、「今日から俺は!!」(西森博之/小学館)といったヤンキー漫画が流行し、“不良”と呼ばれる学生たちのバイブルとなっていた。90年代も「クローズ」(髙橋ヒロシ/秋田書店)や「GTO」(藤沢とおる/講談社)などの名作が生まれるが、2000年代になるとヤンキー文化自体が衰退。現在ではヤンキー漫画は「東京卍リベンジャーズ」(和久井健/講談社)などに代表されるスタイリッシュな作風のものに変わりつつある。 そんな中、2021年1月から連載が開始となった「WIND BREAKER」は瞬く間に人気に。コミック累計販売部数300万部を突破した。かつてヤンキー漫画は男性が読むものというイメージがあったが、本作のコラボレーションカフェやポップアップストアでは女性客が多く見られる。なぜだろうか。 物語は、主人公の桜遥が超不良校として名高い風鈴高校のある街にやってくるところから幕を開ける。喧嘩しか取り柄のないド底辺の嫌われ者が集う風鈴でトップになるーーそう思っていた桜だが、風鈴高校の生徒たちは街の治安を守る存在として住民たちから頼りにされていた。その名も、防風鈴（ボウフウリン）。彼らは2年前、治安が最悪だった街の入り口に看板を立てた。「これより先、人を傷つける者、物を壊す者、悪意を持ち込む者、何人も例外なくボウフウリンが粛清する」と。 自己顕示欲が高く、喧嘩っ早くて、気に入らない奴にはすぐ暴力を振るう。中にはそうじゃない人もいるが、どうしても負のイメージがつきまとう不良。だが、風鈴高校に通うヤンキーたちは違う。拳を振るうのは、己の力を誇示するためではない。誰かや何かを守るためだ。そんなヒーローのような彼らの生き方が、あらゆる暴力にNOを突きつける社会において支持されているのではないだろうか。 ■２：キャラクターが個性的で“推し活”が捗る ここで防風鈴のメンバーを紹介したい。アニメ化にあたり内田雄馬、中村悠一、島崎信長などの人気声優が演じているのもポイントだ。 ■不器用で母性本能をくすぐる主人公・桜遥 まずは主人公の桜遥。髪の毛と目の色が右左で異なる彼は他人に拒絶され、ずっと一人で生きてきた。喧嘩をするのは自分の価値を確かめるため。だが、防風鈴の信念に感化され、不器用ながらも彼らの仲間に加わり街を守っていく。人に感謝されると顔を真っ赤にする照れ屋なところや、素直じゃないところもまた愛らしくて母性本能をくすぐるキャラクターだ。アニメでは、「呪術廻戦」の伏黒恵や「ブルーロック」の御影玲王など数多くの人気キャラクターに声を当ててきた内田雄馬が桜を演じている。 ■温厚な性格ながら喧嘩最強の総代・梅宮一 防風鈴のリーダーは3年生の梅宮一。普段は温厚な性格で、野菜を育てるのを趣味としている。だが、風鈴高校のヤンキーたちをまとめただけあって喧嘩は最強。その二面性に心を奪われることだろう。街の憩いの場「喫茶ポトス」の店員・ことは(CV:長谷川育美)とは同じ児童養護施設で育ち、妹のように可愛がっている。演じるのは、「呪術廻戦」の五条悟役でお馴染みの中村悠一。 ■梅宮の狂信者・杉下京太郎 そんな梅宮を狂信的に慕うのが、『機動戦士ガンダムUC』のバナージ・リンクス役や『ハイキュー!!』の月島蛍役などで知られる内山昂輝が演じる杉下京太郎だ。桜と同じクラスに所属する杉下は、その情熱と才能を認められて唯一高校入学前からボウフウリンを名乗ることを許された実力者。喧嘩っ早いが、梅宮に止められると素直に従うところが憎めない。 ■防風鈴四天王の一人・柊登馬 3年の柊登馬は防風鈴の四天王の一人。戦を司る神・多聞天の別名である毘沙門天を名乗るほどの強さを持つが、ストレスに弱く胃薬を常備している。演じるのは『かぐや様は告らせたい～天才たちの恋愛頭脳戦～』や『ようこそ実力至上主義の教室へ』などを代表作に持つ鈴木崚汰。 ■キャラ投票1位の美少年・蘇枋隼飛 初対面の桜に自らを“レオナルド・ディカプリオ”と名乗った蘇枋隼飛は、カンフーのような喧嘩スタイルが特徴。いつも笑顔を絶やさない好青年だが、喧嘩になると途端にピリッとした雰囲気になる。謎めいたキャラや美少年っぷりが女性読者の心を掴み、キャラ人気投票で過去2回1位に選ばれた。『Free!』シリーズの七瀬遙や『ブルーロック』の凪誠士郎を演じた島崎信長が声を担当。 他にも、筋トレが趣味で熱血な柘浦大河を河西健吾、ゲーム好きで女性に対してジェントルマンな桐生三輝を豊永利行、ケンカは弱いが素直で明るい楡井秋彦を千葉翔也が演じる。このように一人ひとりが誰とも被らぬ個性を持っており、人気声優たちが息を吹き込むことでより魅力を増している。必ず自分の好みに合うキャラが見つかるので推し活が捗ること間違いなしだ。 ■３： “ヤンキー＝ダサい”を覆すお洒落なファッション また注目したいのが、キャラクターそれぞれのファッション。防風鈴のメンバーは基本的に制服を着用しているが、着こなしにも個性があり、見ているだけで楽しい。 例えば、“レオナルド・ディカプリオ”こと、蘇枋は右目の眼帯とタッセルピアスが特徴的で、制服の下にはチャイナ服を着用している。桐生はピンクの髪をピンで留めており、上は柄シャツ。学ランをルーズに羽織っている。 楡井は色付きサングラスを愛用。私服にもこだわりがあり、特にオープンカラーシャツを好む。そうした“ヤンキー＝ダサい”という固定観念を覆すようなお洒落なファッションも女性読者にウケる一つの理由だろう。 4月25日より順次放送中の第4話では、桜が隣のシマを仕切る「獅子頭連」から街の中学生を守るために衝突を起こし、獅子頭連の副頭取である十亀条(CV: 梅原裕一郎)に宣戦布告を受けた。獅子頭連は無邪気で愛らしい性格とは裏腹に圧倒的な力を持つ兎耳山丁子(CV:戸谷菊之介)率いる不良チームで、“力”の絶対信仰を掲げる。 防風鈴はそんな獅子頭連と激突することになるが、それも単なる力試しではないのがポイントだ。あくまでも、喧嘩は街の平和や仲間を守るため。防風鈴のメンバーはそれぞれのカラーを持っているが、その強い信念で結ばれている。スタイリッシュなファッションとともに、“アベンジャーズ”のようなヒーローとしての新しいヤンキー像を描く唯一無二の作品「WIND BREAKER」。 4月27日(土)朝11:10からはABEMAアニメチャンネルにてTVアニメ第1話から最新第4話までが無料一挙放送され、放送後1週間、第1話から第4話を無料視聴可能となっている。まだまだ間に合うので、この機会にチェックしてみてはいかがだろうか。 ◆文＝苫とり子