ロバート・デ・ニーロ、かつてのインタビュー嫌いも「反トランプの急先鋒」で何度もマスコミに オバマ元大統領から大統領自由勲章も
【1万本を見た映画記者 極私的スター名鑑】 〝現代最高の名優〟と呼ばれるロバート・デ・ニーロは少年時代から俳優に憧れて、本格的に演技を学んだ。下積み時代は長かったが、1974年にフランシス・フォード・コッポラ監督の大ヒット作「ゴッドファーザーPARTⅡ」でマフィアのドンの若き日をクールに演じ、アカデミー賞助演男優賞を獲得したことで脚光を浴びる。 【写真】アン・ハサウェイとレッドカーペットを闊歩するロバート・デ・ニーロ 無名時代からの盟友マーティン・スコセッシ監督と組んだ「タクシー・ドライバー」(76年)も大ヒット。同監督の「レイジング・ブル」(80年)では実在のボクサーをリアルに演じ、ついにアカデミー主演男優賞に輝いた。 デ・ニーロは、この作品でまず現役ボクサーの体を作り、さらに引退後の肥満体のために27キロも増量。体形まで変える徹底した役作りは《デ・ニーロ・アプローチ》と呼ばれるようになった。 宣伝で来日した当時の彼はインタビュー嫌いで知られていた。しかし勇気をだして帝国ホテルのスイートを訪ねた。 「僕は、おしゃべりな男が嫌い。インタビューも好きじゃない」と冒頭から言葉のパンチをくらって緊張したが、彼は日本のビールを飲み始めるとリラックス。素顔は寡黙でシャイで正直だった。 「太るためにイタリアに行って、パスタをたらふく食べた。つまらない話さ。太るのは簡単だけど、元の体形に戻すのが大変だよ。エキセントリックな人物には興味があるけど、同じ役は二度とやりたくないね」 その後の活躍はよく知られている。主演と助演で6度もアカデミー賞候補になり、レストラン経営など実業家としても活躍している。2016年には当時のバラク・オバマ大統領から文民では最高位の大統領自由勲章を贈られる。今年の米大統領選では反トランプの急先鋒(せんぽう)として何度もマスコミに登場している。 ■垣井道弘(かきい・みちひろ) 1946年、広島県三原市生まれ。明治大学文学部卒。週刊誌「女性自身」の記者を経て、映画評論家になる。著書に「MISHIMA」(飛鳥新社)、「今村昌平の製作現場」(講談社)、「ハリウッドの日本人」(文芸春秋)、「緒形拳を追いかけて」(ぴあ)などがある。