〈人を座らせないベンチ〉東京・新宿の“意地悪ベンチ”に批判続出! 一方、下町では真逆の試み…ベンチだらけの商店街を取材
あえて座りづらいデザインになっているとして、最近、物議を醸している“意地悪ベンチ”。先日には、座面に交通規制用のポールを固定した東京・新宿区のベンチ画像がSNSで拡散され、「さすがにやりすぎ」と大きな話題になった。その一方で、利用者思いの人情味溢れるベンチを置く商店街も存在している。 【画像】意地悪ベンチと、人情味あふれる商店街のベンチ
ポールがそびえ立つ“意地悪ベンチ”が物議
本来は休憩に使用されるはずが、あえて座り心地の悪いつくりになっている……。最近、こうした“意地悪ベンチ”と呼ばれるベンチが増加中だ。これは“排除アート”とも呼ばれ、中央に仕切りがあるタイプや、座面が反り返っているものなど、さまざまな手法で座る人を排除しようとしている。 7月中旬、この“究極系”ともいえるベンチ画像がSNSで拡散されたところ、大きな話題を集めた。画像のベンチは本来3人がけなのだが、うち2箇所に交通規制用のポールが設置され、1人しか座れないようになっている。 あからさまに座る人を拒絶するこのベンチには、〈こうまでして座らせたくないのか……〉〈排除アートどころかベンチとしての利便性すら損なっている〉〈ここまでやるなら撤去すれば〉など、ネット上で多くの否定的意見が寄せられた。 同ベンチが存在するのは、西武新宿線・都営大江戸線などが通る新宿区・中井駅近くの高架下広場だ。いったいなぜこのようなベンチが誕生したのか、現地へ足を運ぶと近隣住民の深刻な事情も見えてきた。 広場はちょっとしたグラウンドほどの広さがあり、高架下で空こそ見えないが、なかなか開放的な雰囲気。意地悪ベンチは広場の端に2つ設置されており、3人がけで計6人が座れるが、中央の4席分がポールで利用できなくなっている。 ポールは結束バンドのようなものでがっちりと固定されており、ちょっとやそっとではびくともしない。中央部分を利用させたくないという、固い意志すら感じられるほどだ。 こうした措置がとられてしまった理由は、周辺を見渡すとすぐに判明する。実はこの広場、至るところに騒音に対する注意書きが掲示されているのだ。 問題のベンチの背後には、「夜間は会話を控えてください」という看板が、地元の町会の名義で設置されている。 広場の各所には工事現場で用いるバリケードやコーンがあるのだが、ここにも「夜間の会話禁止」との張り紙があるほか、柱には壁打ち・球技の禁止を伝える掲示が一文字ずつ大きく張り出されている。