“神さまー。僕は犯人ではありません” 姉宛ての手紙 悪化する精神状態ありありと…『50年前に袴田巖さんは獄中で一人推理し、捏造を見破っていた』
長い拘置所生活で壊れていく精神
その後、長く拘置所での生活送った袴田さんの精神状態は悪化していき、手紙の文字も乱暴になり、面会でも家族と会わなくなっていったといいます。 (袴田さんの手紙より) 私が独房内を歩くと、その度に蛍光灯がチカチカするように感ずる。電灯が無数のガラスに反射している。そして私を見つめている。風も私に向かって吹いている。本や新聞を開くと悪いことがその中に潜んでいる。
58年越しに静岡県警が謝罪
元ボクサーという理由で58年もの時間を国に奪われた袴田さん。当時の手紙にはこのようにつづられていました。 (袴田さんの手紙より) わたくしの心身は反則によってノックアウトされたまま踏みにじられている。そのノックアウトの底に身を横たえてしまうしかないのか。そして 1 日 1 日、正義を殺されていくのか、これがわたくしの生である。わたくしの無念とするところである。 10月21日、無罪が確定した袴田巌さんのもとに、静岡県警の津田隆好本部長が謝罪に訪れました。 (静岡県警 津田隆好本部長) 「逮捕から無罪確定までの58年間の長きにわたり言葉では言い尽くせないほどのご心労、ご負担をおかけし申し訳ありませんでした。今後、静岡県警察といたしましましては、より一層緻密かつ適正な捜査に努めてまいります。申し訳ありませんでした」 1分40秒にわたって深々と頭を下げ、謝罪しました。一方、もう一つの当事者である検察は、検事総長の談話として「捜査機関のねつ造と断じたことは強い不満を抱かざるを得ません」などと発表していて、直接の謝罪の予定については明らかにしていません。