斉藤由貴、母として見せるアイドルの背中…娘・水嶋凜に「心から演じなさい」 歌手として「人生ようやくここまで」36年ぶり全国ツアーへ
「当時、二十数曲書きました。再演では、作詞し直し、新曲の作詞もしました。19年後、娘が立つ舞台に私が関わるなんて想像もできませんでした」と感慨深げ。「母子の運命を感じた」とも。
そして舞台が開幕すると、「私に無関心と思っていたのに、幕が上がった瞬間、中央の席に母が座っているので驚きました。その後も連日見に来てはダメ出しされていました」。
そんな娘の言い分を伝えると「違うんです」とムキになり、「私は作り手として舞台を見る必要があったから」と反論するが、母は娘にこうも伝えていた。
「心から演じなければ伝わらない」と。この言葉の真意を聞くと、「初舞台で娘は、セリフを間違えずに言おう、歌おう。そう見えてしまったから」と。
そしてこう続けた。
「セリフを忘れようが歌の音程をはずそうが、そんな些細(ささい)なミスはどうでもいい。心から演じなさい。その姿をお客さんは見に来るのです」
19年が過ぎ、再演舞台で娘が主演し、自分の作詞した歌を歌う…。
その瞬間、「もう、ここで人生が終わってもいい。そう思いました」。
やはり母なのだ。
40年後の復活ツアー。今度はステージの上から〝アイドルの生きざま〟を娘に示す覚悟だ。
■斉藤由貴(さいとう・ゆき)女優、歌手。1966年9月10日生まれ。58歳。神奈川県出身。85年、「卒業」で歌手デビュー。同年、「スケバン刑事」(フジ系)でドラマ初主演。「はね駒」(86年、NHK)などドラマ、映画出演多数。40周年を飾るツアー「斉藤由貴 40th Anniversary Tour 〝水辺の扉〟~Single Best Collection~」は2月21日=神奈川県民ホール▽3月2日=大阪・SkyシアターMBS▽3月9日=神戸国際会館こくさいホール―などで開催。
ペン・波多野康雅/カメラ・鳥越瑞絵