WAT'S GOIN' ON〔Vol. 8〕30連敗 最下位 違反行為 それでもシーズンは続く 青森ワッツが追い込まれた苦境
常勝だけがプロスポーツチームの存在意義なのだろうか…既存のプロスポーツ観に逆らうようにBリーグ誕生以前から活動を続ける不思議なプロバスケットボールチーム《青森ワッツ》の魅力に迫る。台湾プロバスケットボールリーグの新竹ライオニアーズとのグローバルパートナーシップ締結など、アリーナに収まらない活動を開始した青森ワッツが地元青森にどのような波及効果をもたらし得るのか、また、いかにしてプロスポーツチームのあり方を刷新してゆくのか、その可能性を同チームの歴史とともにリポートする。〔全13回〕
Bリーグのワッツ
ふたたび、青森ワッツである。bjリーグに参加していたことによって、B(2)リーグにも参加できることになったこのチームは、輝かしい開幕の年にどんな戦績を残したか。 9月24日の初戦(対・サイバーダイン茨城ロボッツ)は落として、黒星スタート。最終戦績は29勝31敗とわずかに負け越したが、前シーズン(bjリーグ最終年)よりは敢闘して、東地区4位で終えた。この時点で、ワッツの選手平均年齢は、24.8歳(シーズン当初)。リーグでもっとも若いチームだった。その若さゆえか、フリースローのチャンスを活かせない場面が特に目についた年でもあったという。 『東奥日報』(2017年5月23日付)によれば、選手がファールを受けた回数は1228回と、リーグで2番目に多かった。ファールを受けた回数が多いということは、フリースローを試投できるチャンスが増えるということでもあるが、ワッツは1122回ものチャンスのうち64.2%しか成功させることができなかった。この成功率は、リーグ・ワースト2位だ。その一方で、ディフェンスリバウンド(1864回)については、B(2)リーグで最多を記録している。 チームが発足した2013年から見れば、ホームゲームの観客動員数(1試合平均)は、1638人、1735人、1701人、1730人(Bリーグ初年)と着実に増えたが、当初からの目標である2000人には程遠い。それでも、この年、B(2)リーグで2000人のラインを超えたのは熊本ヴォルターズだけで、全18チームの3分の1にあたる6チームが1000人を下回る平均観客動員数にとどまっていた事実を考慮すれば、ワッツはまずまずのスタートを切ったと評価するのが適当だろう。