おおらかでのんびり…昭和初期外国人が見た日本人、なぜせっかちになった?
時間厳守を重視する国民性から、日本人は外国人の目に“せっかち”と映ることが多いようです。では日本人はいつから、どうしてせっかちに行動するようになったのでしょう ── 。 時の研究家、織田一朗氏による本連載は、過去6回現代人にまつわるさまざまな時間のエピソードを取り上げてきました。今回からは日本人の時間意識を考える第2部に入ります。第2部初回は『「せっかちさ」は日本人のDNAに組み込まれているだろうか』をテーマに執筆します。 ----------
「セカセカ度世界一」は?
フランスに赴任している友人が半年ごとに帰国して感ずることは、「東京は絶えずエネルギッシュに変わっている」ことと、「なぜ日本人はいつも忙しそうにしているのか」だという。日本の中で生活をしていると当たり前に思えるのだが、外から眺めると、街の景観がどんどん変わり、まるで国全体がいつもアクセクと走り続けているように見えるのだろう。 日本人の「せっかちさ」は、自らも認めているところだが、1985年にアメリカ人の博士が行った調査でも、日本人の「セカセカ度は世界一」と発表された。それまで漠然としていた概念が数字で裏付けられ、「やっぱり」と納得する半面、恥ずかしくもあり、単純に喜べないことであった。 カリフォルニア州立大学のロバート・レヴィーン博士によれば、世界6カ国で人々の生活のテンポを測る調査(1985年)を行ったところ、「セカセカ度」の1位は日本人だった。調査項目は、(1)銀行のロビーに掛かっている時計の正確さ、(2)歩行者の歩く速さ、(3)郵便局員が切手を1枚売りさばく所要時間の3項目だったが、いずれの項目でも日本(東京と仙台)が1位だった。特に郵便局員が切手を1枚売りさばく所要時間では、日本(25秒)は最下位(47秒)の約半分だった。 筆者は、日本人のDNAに組み込まれていて、昔から「せっかち」だったと思い込んでいたのだが、調べてみると、そうではないことが分かった。