「桂田社長は『連絡してくれたら、謝罪に行きます』そういうことを言う人間」「66項目も見直し、国交省が仕事を全然してなかった証し」知床沖の観光船事故から2年…心の傷が癒えないまま、新たな“戦い”に挑む遺族
北海道の知床半島沖で、観光船「KAZUⅠ」が沈没した事故から23日で2年…20人が死亡、未だに6人の行方がわからないままですが、亡くなった乗客の遺族が今の“思い”を語ってくれました。 「何か、不思議な感覚ですよね…息子がいないのに、時間だけは経つんだなって」。 このように2年間を振り返ったのは、亡くなった乗客の1人、橳島優(ぬでしま・ゆう)さん(当時34歳)の父親です。 優さんはおととし4月23日、千葉県から一人旅で訪れた知床で「KAZUⅠ」に乗船し、帰らぬ人となりました。
去年9月、国の運輸安全委員会は、ハッチの蓋の不具合を事故原因と結論付ける最終報告書を発表…国が再発防止に向けて取り組む66項目の対策は、これまで半分以上が実施されてきました。
しかし、失われた命が戻ってくるわけではなく、優さんの父親は、66項目の対策について、逆に、これほどもの不備があったとしかとらえられないと憤ります。 ■橳島優さんの父親 「事件が起きたら、本来であれば、規則とかね、基準とかの、ほんの一部を見直すだけなら、まだ理解できるんですよ」 「66項目も見直して、検査を厳しくしたり、基準を厳しくしたり、それって、おかしいと思いませんか?」 「国交省がふだん、何をやってたか、仕事、全然してない証しじゃないかと!」
さらに、運航会社の知床遊覧船と桂田精一社長に対する刑事処分が行われていないことも、遺族が前を向けない大きな理由の一つだといいます。 ■橳島優さんの父親 「私の年齢だったら、まだいいかもしれないですけど、中にはね、お孫さんを亡くされたり、私よりもっと高齢の人なんかがいるわけですよ、遺族にはね」 「最終の判決というか、最終の結論が出る前に亡くなっちゃったりとかだって、あり得ますよね。本当に時間がかかりすぎですよね」
発生直後の説明会以降、遺族や家族に対し、一切の謝罪やも説明もしていないという桂田精一社長…取材に対しても「告発を受けている身なので、お答えできない」と話しただけでした。 ■橳島優さんの父親 「怒りが込み上げてくるのは、当然、一番責任がある知床遊覧船の桂田社長ですね。彼からは一切、何の謝罪もなければ、何の連絡もない」 「以前、国土交通省の説明会で『桂田社長から謝罪がない』っていうのを伝えたらですね『桂田社長が謝罪して欲しい人がいれば、連絡してください』と。『連絡してくれたら、謝罪に行きます」と、そういうことを言う人間なんですよ」
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