ビタミンD、マルチビタミン、マグネシウム...サプリメント「3つの神話」の噓を暴く
「万能な栄養補助食品」は存在しない。誤解されやすいサプリの神話を専門家が解説する
ドラッグストアでサプリメントの売り場に立てば、誰でも頭が混乱する。米疾病対策センター(CDC)によると、アメリカの成人の半数以上が栄養補助食品を摂取しており、年間数百億ドルを費やしている。 【写真を見る】山で凍死した台湾のビキニ・ハイカー アメリカで最も人気があるのは「万能」のイメージが強いマルチビタミンで、わずかな差でビタミンDが続く。 しかし、実際にどのサプリがどのくらい必要なのか。栄養療法士でW-ウェルネス社の栄養コンサルタントのエリン・フィリエンに、サプリにまつわる3つの「神話」の真偽を検証してもらった。
神話① ビタミンDは多く摂取するほどいい
「ビタミンDは骨を健康に保つために必要な栄養素で、カルシウムやリンの吸収を助け、気分や免疫系など体内の機能を調整する働きもある。ただし、過剰に摂取すると体内にカルシウムが蓄積されやすい」と、フィリエンは言う。 その影響としてよく見られるのは、血液中のカルシウム濃度が高くなる高カルシウム血症で、吐き気、嘔吐、倦怠感、頻尿などを引き起こす。重篤な場合は心臓の問題や腎不全を招くと、クリーブランド・クリニックは指摘する。 成人は1日4000IU(または100マイクログラム)以下、子供は2000IU(50マイクログラム)以下の摂取が推奨されている。
神話② マルチビタミンは全ての人に必要
マルチビタミンは食事から得られないビタミンやミネラルを補給するのに有益だが、含有成分に関する基準はなく、製品やブランドによって異なる。 「他のサプリメントとの組み合わせが効果的かどうか、品質は確かなのか、自分のニーズに適しているかどうかを理解することが重要だ。過剰摂取が危険なビタミンもある」 一般に、栄養素が不足している場合は、全体的なアプローチではなく特定の栄養素を補うことが望ましい。
神話③ 食事から十分なマグネシウムを摂取するのは難しい
マグネシウムは体内で4番目に豊富なミネラルで、数多くの代謝プロセスにおいて重要な役割を担う。 医学 雑誌ニュートリエンツに発表された研究によれば、成人の6人に1人がマグネシウム不足。マグネシウムのサプリメントは、血圧の低下、睡眠や気分の改善、血糖管理の改善と関連している。 ただし、マグネシウムはさまざまな食品に豊富に含まれており、他の栄養素と同じように、過剰摂取は影響を及ぼし得る。「長期にわたり過剰に摂取すると、下痢や嘔吐、腹部けいれん、不整脈などを引き起こす可能性がある」。通常は1日420ミリグラムを超えないことが望ましい。 「色の濃い葉物野菜や全粒穀物、ナッツ、豆類などマグネシウムが豊富な食品をあまり食べない人、飲酒量が多い人、特定の薬を服用中の人はマグネシウム不足になりやすい。だが、本当に不足しているかどうかを確認してからサプリメントで補給するべきだ」 結局のところ、あらゆる人に適している栄養補助食品はない。栄養のニーズは人それぞれで、食事や遺伝、ライフスタイルなど多くの要因がある。サプリメントを手に取る前に、かかりつけ医に相談するのが賢明だ。 パンドラ・デワン(科学担当)