「胸を張って戦い、結果を出す」 岡山勢で最もメダルに近い男、自転車トラックの太田海也選手 パリ五輪開幕まで1カ月
パリ五輪開幕まで26日で1カ月となった。日本選手団は史上最多の金メダル獲得に沸いた2021年東京五輪に続く活躍を期す。岡山勢は自転車男子トラック短距離のエース、太田海也選手(日本競輪選手会)が順当にパリ行きを決めた。他にも連続出場の実力者や初の晴れ舞台に臨む新星も現れ、多様な陣容。メンバー入りの吉報を待つ選手もいる。 【写真】6月の壮行会で意気込みを語る太田海也選手 岡山勢で最もメダルに近いのはこの男だろう。自転車トラックの太田海也選手。岡山市出身の24歳は「胸を張って戦い、結果を出す」。思い描くのは表彰台に立つ自身の姿しかない。 5月下旬に静岡県内であった五輪代表内定記者会見。全国から訪れた50社近い報道陣のほとんどが太田選手を囲んだ。その取材のやり取りで気鋭のスプリンターの目が輝いた瞬間があった。 ある記者が東京五輪短距離2冠のラブレイセン選手(オランダ)を取材した際に聞き出した太田選手への印象だ。「パリで最大のライバルの1人。だから(太田選手の)弱点は話せない」。背中を追い続けてきた絶対王者に認められたことを知った太田選手は、驚きつつも素直に喜んだ。「ずっと打倒を掲げて来た選手の言葉だけに自信につながる。でもパリでは倒しに行く」 昨年2月のネーションズカップはそのラブレイセン選手と直接対決した。準々決勝で東京五輪銀メダリストに快勝し、臨んだスプリント決勝。競り合いながらも2本先取されてストレート負け。しかし「背中は見えた」と手応えも得たという。 備前緑陽高で始めたボート(ローイング)で高校チャンピオンに上り詰めた。その後、岡山市のサイクルショップ店員から競輪選手に転身し、2022年のデビューからわずか3年。いまや日本短距離のエースと呼ばれるまでになった。 パリでは日本男子で唯一、短距離全3種目に出場する。パリ近郊にある会場のサンカンタンアンイブリーヌは22年世界選手権で好タイムを出した相性の良いバンクという。獲得に期待がかかる日本自転車界初の金メダルは「僕の実力を100%出せれば必ず届く」。異色のスプリンターは世界に衝撃を与えるつもりだ。 ◇ パリ五輪代表に25日までに内定した岡山ゆかりのアスリートは6競技7人。自転車トラック短距離の太田選手をはじめ、いずれも各競技の主戦を担う精鋭たちだ。