「普通の音楽番組にはしたくなかった」田渕ひさ子も愛を熱弁、NHK「エフェクター特化ドキュメント」濃密すぎる制作秘話
和田氏の熱すぎるこだわり「小さな音にも耳を傾けてほしい」
「番組でこだわったのは“音”です。ロケの音声担当のスタッフさんもギタリストで、エフェクター/アンプマニアでもあり、音の収録に関して並々ならぬ気持ちで臨んでいただきました。例えば、アンプから出る音はロケ現場では爆音だったのですが、『絶対に割れないように収録するから安心して!』と別でマイクを持ってきていただき収録しました。その中でも特にこだわったのが、スイッチ音を全て別で収録してもらったことです。私自身、エフェクターのスイッチを踏むときの『カチッ』という音にやや興奮を覚えるフェチがありまして、筐体が堅いものは鈍い音がしたり、中に空洞が広くあるものは少しリバーブがかったような音がしたり、スイッチ自体が特殊で『フニャ』という音がしたり……。スイッチ一つ取っても個性豊かで魅力の一つだと思っています。視聴者の方々にもそのようなエフェクターの肌触りを感じてもらいたいです。また、音に集中して聴いてほしい狙いもあったので、ナレーションなしで編集しました。ぜひ、小さな音にも耳を傾けてほしいです」 出演者も、制作サイドも、エフェクターを愛するがゆえにクリーンではいられない人々の手で作られた20分間は、日曜日の深夜に騒やかな歪みを生み出すことだろう。最後に、「生っ粋のバンドマンだった」という和田氏に「推しのエフェクター」と“音”へのこだわりを聞いてみた。 「ファズとコーラスとディレイをループに入れておいて、同時に踏んだときのノイズと、ロングディレイなら空間を包み込むサウンド、ショートディレイなら空間を切り裂くサウンドが大好きです。ファズは低域がズンと鳴りながら、ジャリジャリした倍音もする図太いサウンドのものが好きです。どうしてもこもりがちになるので、ソロを弾くときはショートディレイで音抜けさせたり、きらびやかなハイがでるディレイ・コーラスなどで味付けをするという感じでセッティングするのですが……っと、ここらへんでやめておきます(笑)」 --- ▼番組情報 NHK総合「ドキュメント 20min.『NO EFFECTOR, NO LIFE.』」 2024年12月1日(日)23:45~24:05 ※NHKプラス/TVerで1週間の見逃し配信&NHKオンデマンドでも配信予定 出演:田渕ひさ子 / 細川雄一郎 / 手塚大哉
Atsutake Kaneko