「ID野球」で初優勝を 明石商・狭間監督、野村さん悼む /兵庫
<センバツ2020> ◇著書読破、考えに共感 プロ野球の名捕手で、指導者としても多くの実績を残した野村克也さん(享年84)が11日に死去した。データ重視の「ID野球」など、独特の野球哲学に影響を受けた野球関係者は数多い。今春のセンバツで初優勝を目指す明石商の狭間善徳監督も、その一人だ。データ分析の大切さを野村さんの著書で学んだという狭間監督は「少しでも『野村野球』を明石商で実践したい」と名将を悼んだ。【韓光勲】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 狭間監督は明徳義塾高(高知)の馬淵史郎監督の下で指導者としての「修業」をした後、2006年に明石商コーチに就任。翌年、監督に就いた。この間、ヤクルトなどの「弱小球団」を日本一に育て上げた野村さんの手法を参考にしようと、野村さんの著書を読破。「野村さんの『弱者が強者に勝つための野球』という考えに共感した」と語る。 明石商が目指すのは投手を中心に守り勝つ野球だ。「公立校が打ち勝つのは難しい。だから『野村野球』を参考に、負けない野球を目指そうと思った」 「敵を知り、己を知り、グラウンド状態を見る」。野村さんのこの考えに、狭間監督は最も影響を受けたという。相手データを徹底的に分析し、グラウンドの硬さ、風向き、芝生の状態までチェックする。狭間監督が実戦している野球は、まさに「ID野球」だ。 「野村さんの野球に対する考え方は、これからも明石商野球の基本になり続けるだろう」と狭間監督は静かに語った。 ◇「ぼやき 懐かしい」 阪神ファンも悲しみ プロ野球・阪神タイガースでも監督を務めた野村克也さんを悼む声が、県民からも相次いだ。 尼崎市の尼崎中央三丁目商店街では11日、同市の会社員、南正弘さん(58)が野村さんの死を惜しみ「継投や代打の起用法など、阪神が変わったと思った。物心ついた頃からの阪神ファンにとって、監督時代の『ぼやき』は耳に心地よいものではなかったが、今となっては懐かしい。その名調子がまだまだ聞けると思っていたのに残念です」と話した。 神戸市兵庫区の会社員、西崎律子さん(40)は訃報を聞き、11日に阪神百貨店(大阪市北区)の阪神タイガースショップに急きょ来店。「ニュースで訃報を知り、思わずショップに来た。選手への独特な表現が好きだった。元気そうな姿をテレビで見ていたのに。ご冥福を祈りたい」と話した。【土居和弘、大東祐紀】 〔神戸版〕