国内男子ツアー最終戦を制した蟬川泰果の「伸張反射を最大限に活かして捻転差を作る」スウィングをプロが解説【勝者のスウィング】
下半身をゆるませずに体幹をねじり上半身と下半身の捻転差を作る
前置きが長くなりましたが、スウィングを見てみましょう。左手の甲が正面から見える“ストロンググリップ”で握るので、アドレスで手元は体の真ん中に位置します。そこから下半身をゆるめずにテークバックすることで、しっかりと体幹が捻じられた安定性のあるバックスウィングへとつながっています。
ダウンスウィングでは下半身から切り返し、インパクトでおヘソがターゲットを向くくらいしっかりとターンさせていることが見てとれます。これは「今週はドライバーが曲がらないように打てるひらめきがあったんです。腰の回転を作ればきれいなフェードがかかっていたので、ライン取りしたいときはフェードボールの調整がいうことを聞いてくれた」と会見で話していたことと重なります。 フェードヒッターはインパクト付近で体のターンが止まると、左に打ち出したボールがフェードせずに左に巻くいわゆる「逆球」になってしまいます。逆球はコースマネジメントからも外れるのでスコアを崩す最も大きなミスの一つになります。 ダウンスウィングで腰を回そうとして上半身も同じ回転量になってしまうと捻転差が作れずアウトインのカット軌道になりがちです。蟬川選手の腰のキレは、下半身をゆるませずにテークバックすることで、筋肉の伸張反射を使って上半身と下半身の捻転差を作ることで生まれています。 勝負強い蟬川泰果らしいプレーで、来季は海外ツアーで大暴れする蟬川選手の姿を見せてくれることでしょう。 残るは競技は、12月10日に開催される男子ツアー、シニアツアー、女子ツアーがチーム戦で戦う「日立スリーツアーズ」のみとなりました。女子ツアーからは山下美夢有、シン・ジエ、岩井明愛、岩井千怜、小祝さくら、櫻井心那の6名。男子ツアーからは、金谷拓実、蟬川泰果、ソン・ヨンハン、平田憲聖、稲森佑貴、石川遼の6名、シニアツアーからは、P・マークセン、藤田寛之、I・J・ジャン、山添昌良、久保勝美、飯島宏明の6名が参加します。各ツアーのトップ選手のプレーを見られる年内最後のチャンスです。お見逃しなく。
プロゴルファー・中村修