定置網の中で「寒ブリ」が……地震で水揚げできず“大量死” 能登島のダイバーが撮影、赤く染まる海 漁再開も被害なお
日テレNEWS NNN
能登半島地震で、石川県内の多くの漁港や設備が被害を受けています。寒ブリ漁が盛んな今、漁師やその関係者にも大きな影響が及んでいます。七尾市の能登島で、水揚げできずにブリが大量死した様子を動画や写真に収めた人に、被害や現状について聞きました。
■魚が入り過ぎて網が揚がらない状況に
藤井貴彦アナウンサー 「石川・七尾市の能登島にある鰀目(えのめ)漁港の沖合で、地震の後の海の中を撮影された方がいます。定置網漁に使う網のメンテナンスをしている鎌村実さんです」 「鎌村さんは、鰀目漁港の漁師から震災で壊れた網の修理を頼まれているということですが、現在の港はどのような状況ですか?」 鎌村さん 「今回、震災によって魚が入り過ぎて揚げられなくなった網があります。(入るのは)うれしい話なのですが、入り過ぎて揚がらない。それを回避するために、現状は潜って別のロープをかけて、なんとか揚げている格好です」
■地震から2週間後、海に潜って撮影
藤井アナウンサー 「鰀目漁港でも、旬であるブリの水揚げができない状態が続いたということですが、ダイビングショップも営んでいる鎌村さんは地震後、海に潜って撮影されました」 「撮影は地震から約2週間後の15日。網の中で大量のブリがたまっている様子が確認できます。本来なら4日からこの網を引き揚げる予定でしたが、断水と停電の影響で、水揚げの際に必要な水や氷を確保できず、16日まで水揚げできなかったということです」 「この撮影をした時は、網の中のブリはどんな状況でしたか?」 鎌村さん 「ブリがすし詰め状態で、身動きがとれず、腐敗してしまっている感じです」 藤井アナウンサー 「生きているブリは1匹もいなかったのでしょうか?」 鎌村さん 「若干隙間があるところでは、小さいブリは生きていました。ただ漁師さんの商品になるような大きな10キロ超えのようなブリは全滅という感じです」
■海上からの写真に…白と赤の濁り
藤井アナウンサー 「15日に海の上から(鎌村さんが)撮影した写真もあります。海面が白く濁り、部分的に赤くなっているところもあります。これはどういう状況なのでしょうか?」 鎌村さん 「海中の動画の状態は『袋網』と言い、最終的に漁師が魚を揚げるところです。一方(海上からの)写真は通常(の方法)では揚がらないので水深32メートルまで潜り、普段と違う箇所にロープをかけてクレーンで引き上げ、なんとか水面まで揚げてきたところです」 藤井アナウンサー 「赤い部分はブリの血が流れているところでしょうか?」 鎌村さん 「そうです。(海は)赤かったり、白かったり。食べると本当においしい、脂ののった状態のブリですが、海の中で脂と血と、腐敗した身で白濁りをして、まるでゼリー状で膜を張ったような感じです」