新指揮官に求められる手腕…182勝&3世代で2桁勝利 実績申し分なし、西武再建なるか
今季の西武は今井達也投手と武内夏暉投手が2桁勝利
西口氏が記録した指標にも着目する。通算の与四球率は3.23と平均値に近い数字だが、投手3冠と沢村賞に輝いた1997年には200イニングを突破しながら与四球率2点台とハイレベルな投球を見せ、1999年と2002年にも与四球率2点台と好投を見せていた。 とりわけ印象的な成績を残したのが、勝利数と防御率でキャリアハイを記録した2005年で、172イニングで与四球率1.78という素晴らしい成績を残している。今季の西武は与四球率がリーグ最下位かつ、6球団で唯一の3点台という結果に終わっただけに、西口氏のような制球力を持つ投手を一人でも多く育成したいところだ。 また通算の奪三振率も7.41と概ね平均的な水準に近かったが、1996年~2006年の全盛期は全て7点台~8点台で推移していた。とりわけ、2000年から2004年までは5シーズン中4シーズンで8点台の奪三振率を記録し、2002年には182イニングで180奪三振を記録し、奪三振率8.90と素晴らしい数字を記録。全盛期は高い奪三振力を誇っていたことがわかる。 西口氏は長年にわたってエース格として登板を重ね、1990年代、2000年代、2010年代の3世代全てでシーズン2桁勝利を記録。21年間にわたって現役生活を続けてきた経験を指導者として後進に伝え、苦しい状況にあるチームの再建への道筋を立てたいところだ。 2024年に揃って10勝を挙げた今井達也投手と武内夏暉投手を筆頭に、現在の西武にはさらなる成長が期待できる先発投手が多く存在する。それに加えて、現役時代に西口氏がつけていた背番号「13」を受け継いだ高橋光成投手が復調を果たせば、西口氏の現役時代のような多士済々の先発陣を構成することも、決して夢物語ではないはずだ。 長年にわたってライオンズを支えてきた西口氏が、指揮官という新たな立場でチームを救うことができるか。来季から発揮されるその手腕には、大いに注目が集まることだろう。
「パ・リーグ インサイト」望月遼太