花火大会 再開・中止 どちらも住民の声 自治体の対応はなぜ違う?
■議会の役割 果たしましょう「議会基本条例」
住民からの苦情を理由の一つとして「納涼花火大会」の中止を決めた埼玉県狭山市は、今年、「議会基本条例」を制定しようと準備を進めています。 「議会基本条例」は、議会に関する基本的事項について定めている条例で、全国の自治体の56.6%(令和5年10月1日時点)が施行しています。分かりやすくいうと、「議会の役割をきちんと発揮しましょう」ということと、「住民の負託に十分に応えるための基本方針」が書いてあります。 自治体によって内容は異なりますが、例えば、「住民に対して議会報告会を実施して意見交換を行う」とか「住民の議会参加への推進」「(住民が議会に直接意見を伝える)請願・陳情の際、住民がきちんと意見を発表できる」などといった様々な規定を盛り込んでいます。 地方自治体は二元代表制…「首長」と「議会議員」を「住民」が直接選ぶ制度をとっていますから、住民の意見をしっかり受け止めているかどうかは非常に重要なのです。 「議会基本条例」は、令和元年度に施行率が5割を超えました。その後も毎年、20~30程の自治体で制定されており、今後も広がりが期待できます。
■「団体自治」と「住民自治」のバランスが大事
地方自治は「団体自治」と「住民自治」に分けられます。「団体自治」とは自治体が国から独立して自らものごとを決定することを言い、「住民自治」は住民が地域の課題を自ら解決することを言います。この2つが上手く回ってこそ、地方自治が上手く進むとされています。 「住民自治」は、住民の声を受け止める応答性が大切です。住民が言うことをそのまま全てやるということではなく、住民の意見をしっかり聞き、それを適切に反映して、自治体が地域の行政を担っていくということです。そして、住民にも情報提供する、住民が参加しやすい機会を確保する、そういったことを、自治体がしっかりと意識をして、行政運営をしていって欲しいと思います。 (神奈川大学 幸田雅治教授)
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