「新潟の魅力伝えたい」トキエア地元出身CAも待ちわびた初便
「これはゴールではなくスタート」。新潟県の花角英世知事は、トキエア(TOK/BV)の就航式典が開かれた新潟空港で、幾度となくこの言葉を用いた。1路線目の新潟-札幌(丘珠)線が週4日運航で就航し、今後はデイリー化、2路線目の仙台就航、将来的な佐渡就航も目指すトキエアにとって、日々安全運航を続けなければならないこれからが本番、ということだ。 【写真】新潟から札幌へ向かうトキエア初便の機内 当初は2022年に就航する計画だったが、規程類の見直しなどで延期が繰り返され、約2年遅れで商業運航開始にこぎつけたトキエア。初便となった1月31日の新潟発丘珠行きBV101便には、乗務する客室乗務員2人に加え、教官を務める先任客室乗務員、鷲尾紗由里さんの姿もあった。教官として乗客を乗せた運航便に乗り、客室乗務員の業務にどういった課題があるのかを持ち帰り、今後の見直しなどに役立てるためだ。 2021年12月、鷲尾さんは羽田空港で開かれたイベントで、就航前のトキエアや新潟の魅力をPRしていた。このころは2022年夏に就航予定だったので、他社から転じた鷲尾さんもそのつもりで入社。しかし、延期が繰り返された3年間は就航準備に翻弄された。 トキエアには客室乗務員の経験者はいるものの、運航する仏ATR社製ターボプロップ機ATR72-600型機(1クラス72席)の経験者はいなかったという。メーカーが用意している客室乗務員用のマニュアルなどを基に、トキエア用の規程類を当局などの力を借りながら鷲尾さんたちが用意した。 1月31日午前9時37分。乗客71人(幼児なし、社員3人含む)と乗員4人(パイロット2人、客室乗務員2人)の計75人を乗せ、初便は新潟空港を定刻より7分遅れで出発したが、目的地の札幌・丘珠空港には定刻の午前11時10分に到着した。 新潟空港では30人以上の社員や関係者が、横断幕を手に初便を見送った。その様子を機内から見ていた鷲尾さんは「ウルッときましたね。今日無事に就航できてよかったです」と笑顔を見せた。 新潟出身の客室乗務員は、現在は鷲尾さんのみ。「新潟の良さをみんなで勉強して、新潟の魅力を伝えたいですね」と話す。初便に同乗したことで、満席時に手荷物をどう扱うかなど、実際に起きた状況から改善点を見いだすことができたといい、サービスや業務を改善しながら、後進を育成していきたいという。
Tadayuki YOSHIKAWA