狙うはコストコ?静岡・難波市長「ショッピングモールは作らない。制限したい」 東名・スマートIC周辺の整備めぐり
自ら定めた規制が“足かせ”に
こうした中、静岡市は10月9日に開かれた学識経験者や経済団体などで構成する市の商業振興審議会で、売り場面積の上限を現在の1.5倍にあたる1万2000平方メートルに緩和する考えを示した。 背景にあるのは東名高速・日本平久能山スマートIC周辺に位置する宮川・水上地区の約32万平方メートルにも及ぶ土地の存在だ。 市ではこの場所を“市内に残された最後の平坦地”として、大規模な集客施設の誘致を進めている。 日本の大動脈のスマートICすぐそばという立地を活かし、市内のみならず、市外、もっと言えば県外からも買い物客を誘致し、中心市街地への回遊を促すのが狙いだが、一方で実現に向けては皮肉なことに自らが決めた規制が“足かせ”となっていて、これを緩める必要がある。 審議会の委員からは、交通問題を懸念する意見も出たが、売り場面積の上限については一定の柔軟性も必要との見解も示された。
市長の発言の真意は?
では、静岡市は実際どのような集客施設をイメージしているのだろうか? この点について難波喬司 市長は10月11日の定例記者会見で「ショッピングセンターまたはショッピングモールは作らない。制限したい」と述べた。 「大規模な建物の中に小さな店がいくつも並ぶのは、事実上“商店街”ができることになる」との理由からで、中心市街地にある商店街との客の“奪い合い”を避けたいとの考えがあるようだ。 市民の間では難波市長の発言を“深読み”し、コストコに代表されるように倉庫型量販店の進出に期待を寄せる声がある。 とはいえ、こうした業態の出店は静岡市の一存だけで決まるわけはなく、一にも二にも営利企業としての事業者の考えや意向が優先されるのは言うまでもない。 静岡市は2020年には人口が70万人を割り込み、全国に20ある政令指定都市の中でも最下位に沈んでいる。 故に人口減少対策、殊に若者の流出をいかに食い止めるのかは喫緊の課題だ。 だからこそ、意中の事業者に“フラれる”可能性も考慮して、事前に二の矢、三の矢を用意しておかなければならないし、間違っても理想を追い求めるあまり当該の土地が塩漬けにされ、市の衰退につながるようなことはあってはならない。 同時に、中心市街地の商店街を守るために制定した出店規制条例が本当に市の発展に寄与していたのか議論する必要があるだろう。 (テレビ静岡)
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