【リセットコリア】弾劾手続きと改憲議論を同時に進めよう=韓国
12・3非常戒厳事態の責任を問うて国会が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する弾劾訴追案を議決し、今はもう憲法裁判所の時間となった。今後、最長180日間の審判手続きを通じて非常戒厳の違憲・違法性と内乱罪かどうかを問いただす予定だ。大統領弾劾の悲劇は2004年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と2016年の朴槿恵(パク・クネ)大統領に続いてすでに3回目となる。大韓民国民主主義の自尊心を傷つける、恥ずかしくて惨めなことだ。 民主化運動の歴史的産物である1987年憲政体制の大手術が避けられない。現行憲法によると、一度の5年任期のみ可能な大統領直選制の勝者は権力を独占し、帝王的大統領として君臨する。半面、大統領選挙の敗者は任期中、次の大統領選挙を狙って大統領と政府の足を引っ張ることに死力を尽くす。協力政治が基本的に不可能な政治体制だ。 尹大統領は人事権と医療政策などを独断的に推進し、国会の圧倒的多数党の民主党は立法権を乱用して司法・行政権の無力化を進めた。国会の検事・長官に対する弾劾は計16回もあった。憲政史上初めて監査院長を弾劾訴追し、大統領の法律案拒否権も25回も行使されたため、国政はほとんど植物状態だった。 弾劾手続きと憲法改正は最大限同時に進めなければいけない。弾劾の目的である民主主義の回復のためには改憲が至急だ。現行の政治構造では誰が大統領になろうと協力政治は不可能であり、悲劇は繰り返されるだろう。37年が経過してすでに寿命を終えた87年政治体制は大手術が避けられない。新しい政治構造の核心価値は権力の分散に置かなければいけない。権力が分散すれば権限と責任も分散し、政治行為者の合理的な対話と妥協の可能性が高まる。 改憲は2つの次元で議論しなければいけない。一つは大きな枠組みでの権力構造改編だ。権力独占が内在的な現行多数制政治構造から権力分散を誘導する合意型政治構造に変えなければいけない。米国のように4年2期の正・副大統領制を導入すれば、現行の大統領単任制による権力集中と乱用を減らし、副大統領が権力を分け合って牽制と均衡を強化することができる。 フランス式の二元的政府制は国民が選出した大統領と首相がそれぞれ外交と内政の責任を負う分権的権力構造だ。英国式の議院内閣制は一つの政党が行政府・立法府の権力をすべて握るが、多数党構成のための連立政権協力、内閣不信任権と議会解散権を通じて牽制と均衡が維持される。 もう一つは大統領と議会の関係で相互牽制を強化することだ。大統領と国会の独断的な権限行使を遮断する制度を用意してこそ国政まひを最小化できる。大統領の帝王的な権限を牽制するためには、行政府の法案提出権と国会議員の国務委員兼職を制限する。大統領の独断的な高位公職者任命独走を防ぐためには国会の同意を必須要件とする。 国会に対する牽制を強化するためには大統領に対する弾劾訴追権が最終棄却される場合、大統領に国会解散権を付与する。弾劾が政争の対象として乱用される悲劇を防ぐためだ。国会議員の不逮捕特権を廃止し、免責特権も制限する。国会議員に対する国民リコール制の導入が急がれる。大統領を含む高位公職者と自治体の首長および地方議員は現行法でリコール可能だが、国会議員だけが例外であるのは公平性に背く。 韓国の民主主義回復のための改憲の最後の峠は政界の決断だ。学界専門家と市民社会がいくら改憲を叫んでも、国会議員の意志がなければむなしい響きに終わる。改憲の時期と内容は政界の意志さえあれば迅速な合意が可能だ。 国民の弾劾要求の声には政治構造の根本的手術に対する要求が込められているとみる。歴代の国会で何度か構成された国会議長直属の憲法改正諮問機構では専門家らが熟考して権力構造改編のための代案をすでに用意した。今はもう政界の意志と選択の時間だ。 憲法裁判所の弾劾審判と早期大統領選挙まで最長8カ月の時間がある。現在は政治構造改革に対する国民的な熱望がいつよりも高い。悲劇的な弾劾黒歴史の反復を避けるためにも改憲投票が早期大統領選挙と共に行われる必要がある。 ユン・ジョンビン/明知大政治外交学科教授/未来政治研究所長