『M-1グランプリ2023』優勝本命芸人は? 要注目5組のYouTubeチャンネルから分析
来たる2023年12月24日に『M-1グランプリ2023』(朝日放送テレビ・テレビ朝日)の決勝戦が放送される。過去最多エントリーとなった8540組から勝ち抜いたのは、カベポスター、くらげ、さや香、真空ジェシカ、ダンビラムーチョ、マユリカ、モグライダー、ヤーレンズ、令和ロマンの9組。決勝初進出の芸人が5組と、まさに「新時代」と言える顔ぶれとなった。彼らの魅力は漫才以外でもそれぞれが運営するYouTubeチャンネルでも垣間見ることができる。今回はそのなかから5組をピックアップして紹介したい。 【写真】モグライダー・芝のリーゼントができるまで ・マユリカ 2011年結成、今大会決勝初進出。ボケの阪本とツッコミの中谷からなるコンビで、3歳からの幼馴染というまるで漫画のような経歴を持つ彼ら。マユリカの由来もそれぞれの妹の名前「マユ」と「リカ」を合わせて付けられたという、ある意味特殊過ぎるコンビだ。2021年オールザッツ漫才準優勝、2022年第7回上方漫才協会大賞文芸部門賞と賞レースでも着実に結果を残しており、阪本の低音ボイスから繰り出される怪しくもポップなボケと、中谷のハイトーンボイスから繰り出される情熱的なツッコミは、面白さと同時に良質な音楽にも似た心地良さがある。 2023年9月に開設したばかりのYouTubeチャンネル「マユリカのプンカプンカ!」では本数は少ないものの、2人の仲の良さを十分に感じさせる動画が投稿されている。特に先月アップされた『THE W2023』王者・紅しょうがとの温泉旅行動画では、2人が狭い風呂に一緒に浸かるなど、ほかでは観ることのできない貴重な瞬間を覗くことができる。 ・くらげ 2018年結成、今大会決勝初進出。白ワイシャツにネクタイというシンプルな出で立ちの杉昇と、坊主頭にアロハシャツを身にまとった渡辺翔太からなるコンビで新しいシステムを次々と作り出す類まれな発想力は決勝進出芸人のなかでもトップクラス。彼らのYouTubeチャンネル「くらげのわかんねえけどチャンネル」ではそんな彼らの漫才を存分に楽しむことができる。 なかでも『M-1グランプリ2019』で話題となった、ワイルドな雰囲気の渡辺が「わかんねぇけど」と前置きしつつ杉の相談に的確なアドバイスを告げる漫才をショート動画にした「わかんねぇなりに解決してくれる人」シリーズは、絶妙なチョイスのあるあると、渡辺翔太の豊富な語彙力、杉昇の演技力がギュッとつまった「くらげ濃縮還元」のようなコンテンツでキッカケしだいではいますぐにでもバズりそうな可能性を秘めている。 ・真空ジェシカ 2012年結成、3年連続決勝進出。川北茂澄の独特なワードセンスから繰り出されるインターネット世代に突き刺さるボケと、ガクの嘆くようなツッコミが特徴のコンビ。いわゆる「分かる人にだけ分かる」コアな漫才スタイルだったのだが、ネット文化が老若男女広くに浸透してきたことで相対的に彼らのネタのターゲット層もどんどん広がり、ここ数年はもはや真空ジェシカの漫才こそが「マス」になりつつある。 真空ジェシカのYouTubeチャンネルでは、2017年から定期的にラジオ番組『真空ジェシカのギガラジオ』を配信している。テーマは「川北とギガの巧みな言葉遊びと会話の妙、そして嘆きのガクが織りなす理解不能でシュール、けど癖になるラジオ」。真空ジェシカの2人と、後輩のピン芸人・肉体戦士ギガの3人がパーソナリティで、お笑い界を中心にしたその時の話題のトークやライブの裏話、ただただふざけ倒している回などその内容は多岐に渡り、どこか謎な部分もあった彼らの素がこのラジオで垣間見ることができる。数百を超える膨大な量がアップされているので、気になった回からチェックしてほしい。 ・ダンビラムーチョ 2011年結成、今大会決勝初進出。M-1グランプリ2022では、森山直太朗の「生きとし生ける物へ」をひたすら歌い合いしりとりをする、という漫才でお笑いファンのみならず、森山直太朗本人にも衝撃を与えた。 ボケの大原優一とツッコミの原田フニャオ、どちらも元高校野球部に所属していたという彼らのYouTubeチャンネルは9割が高校野球関連の動画で、登録者数15万人を超える一大コンテンツとなっている(2023年12月22日時点)。どの動画も野球部あるあるの精度が凄まじく、誇張しすぎないリアルな演技によって野球経験者はもちろん、未経験者でも楽しめる内容になっている。そしてなにより、ダンビラムーチョの2人が心から野球を愛していることが画面から滲み出ており、それが人気の理由になっているのではないだろうか。 ・モグライダー 2009年結成、2021年大会以来2回目の決勝進出。TBSの伝説的人気番組『リンカーン』の後継番組『ジョンソン』のレギュラーメンバーに選ばれるなど、今年テレビで見ない日はないほどの活躍ぶりだったモグライダー。恐ろしいまでの天然ボケを見せるともしげのキャラクターを活かした、どこからが台本でどこからがアドリブなのか分からないほどのライブ感のある漫才は、会場の空気に一度ハマれば大爆発すること間違いなし。 YouTubeチャンネル「モグライダーのモグChan」はスローペースながら、芝大輔とともしげそれぞれの個性を知ることのできる距離感の近い動画が投稿されている。特に197万回(2023年12月22日時点)という爆発的な再生数を誇ってるのが、芝がいつものリーゼント姿を作るルーティンを公開している動画で、芸人の域を超えた異常なまでの格好良さに心臓を撃ち抜かれたファンが続出している。 誰が優勝しても納得感しかない今大会、敗者復活戦のシステムもガラリと変わり、例年以上にハイレベルな戦いが繰り広げられることだろう。お笑い界の歴史に新たな1ページが刻まれる聖夜の決戦を心して迎えたい。
かんそう