利用率低迷の「マイナ保険証」 未所持で“診察後回し”トラブル 法的問題は?
■未所持で“診察後回し” 法的に問題ない?
クリニックでのケースです。 Bさんはマイナンバーカードを持っていません。 持病のために通っていたクリニックで、突然、医師から、マイナ保険証の“優先診察”を伝えられました。 「『次回からマイナ保険証じゃないと後回しになります』と言われた」ということです。 Bさんは、 「自分が一番最初に来ても、マイナカードを持っている人がどんどん来たら、だんだん後になる。ちょっとした嫌がらせをして、(マイナ保険証を)作らせようとしているように感じた」といいます。 『マイナ保険証』を持っている患者を優先診察する理由について、 別のクリニックの担当者は、 「受付での本人確認が簡単なマイナ保険証の患者を優先すれば、待合室の混雑が解消される」としています。 そもそも、マイナンバーカードの取得は任意です。 中央大学の宮下紘教授によると、 「マイナ保険証は、任意のものに対して、国民全員が入っている保険制度をくっつけているため、矛盾が生まれる。それを使わないと診療ができないことがおかしいし、どうしてもトラブルが起きてしまう」ということです。 保険証の種類で対応に変化があるというのは、法的な問題はないのでしょうか。 薬剤師法第21条では、 『正当な理由なく調剤の求めを拒んではならない』 医師法第19条では、 『正当な理由なく診察治療の求めを拒んではならない』 とあります。 宮下教授です。 「『マイナ未所持』を理由に、調剤や診察を完全に拒否すれば違反になる。完全拒否でなくても、保険証の種類によって、患者が受けられる医療行為に差が生じるのは、患者に寄り添った方針ではない」 厚労省の担当者は、保険証の種類による対応の変化について、 「診療そのものを拒否したり、マイナ保険証を強制したら問題だが、順番の前後やマイナ保険証を求めることが、何か違反とはならない。不公平感はあるかもしれないが、事務の効率化、待合室の混雑解消などの観点から合理的に説明できるなら、否定されるものではないのでは」としています。