小久保監督、柳田、近藤…打撃投手から見たホークスの超一流打者たち。「打撃練習のときだけ別人」打撃練習での意外なルーティン
中心選手に投げるほうが簡単
過去の名選手たちを振り返ってきましたが、現在担当しているバッターたちも、負けていないと思います。 今、私が担当しているバッターは、柳田悠岐選手、近藤健介選手、中村晃選手が固定ですが、今年は柳田選手が離脱しているため、その代わりに柳町達選手、あとは場合によって栗原陵矢選手や正木智也選手、周東佑京選手に投げます。 NPBを代表するようなバッター、チームの浮沈を握るような大事なバッターを担当させてもらっていることには責任も感じますし、やりがいも覚えます。 でも本当は、こういう中心選手に投げるほうが打撃投手は楽なんです。 技術的に未熟なバッターだと、ど真ん中にいっているのにミスショットすることもあります。すると打撃投手は、「あれ、回転が悪かったかな」とか「スピードがバラついていたかな」とか、私が悪かったのではないかと不安を感じるようになってしまいます。 先にも述べましたが、打撃投手は常に「できて当たり前」という重圧にさらされているので、だんだんと疑心暗鬼になって悪循環にはまっていってしまうのです。 その点いいバッターは、どこに投げても、ちょっとズレてもきれいに打ってくれるので、逆に楽な気持ちで投げられます。すると球も良くなっていくという好循環に入っていきます。 そう考えると、若い打撃投手はこのハードルを乗り越えて、未来の一流選手と一緒に成長していく必要があるといえます。
---------- 濱涯泰司(はまぎわ やすじ) 1970年10月3日生まれ。鹿児島県出身。鹿児島商工高等学校(現・樟南高等学校)、九州国際大学を経て1992年ドラフト3位で福岡ダイエーホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)に入団。1999年に引退後、打撃投手へ転身。以後、25年間にわたり投げ続け、裏方からチームを支える。 ----------
濱涯泰司