「尹錫悦に失望と恐怖…惨憺たる気持ち」街頭に出てきた韓国市民
「もう我慢できない。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権を追い出そう!」「大統領の資格がない。尹錫悦は退け!」 ソウル崇礼門(スンレムン)から市庁駅まで、世宗大路(セジョンデロ)の車道と歩道を埋め尽くした市民による「退陣」の叫びが、週末のソウル都心に響き渡った。尹錫悦大統領と夫人のキム・ゴンヒ女史をめぐる疑惑と尹大統領の国民向け談話に対する失望感、これまで抑えられてきた社会的問題の解決に対する要求など、市民がそれぞれのスローガンに込めた意味は様々だった。 民主労総、全国民衆行動などが結成した尹錫悦政権退陣運動本部(退陣運動本部)は9日、「尹錫悦政権退陣第1回総決起」を開き、政府を批判するとともに退陣を求めた。野党「共に民主党」はこの日午後7時から同じ場所で「第2回国民行動の日」を開き、キム・ゴンヒ女史に対する特検を受け入れることを重ねて要求した。この日の集会には主に労働組合所属の労働者たちと党員たちが集まったが、一般市民の参加も少なくなかった。 集会に参加した人たちは7日、尹錫悦大統領の国民向け談話と記者会見で感じた失望感を口にした。主婦のシン・ウンスクさん(68)は「談話を見て、(集会に)参加しなければと思った。人に忠誠を誓わない(国民に忠誠を誓う)と言っていたのに、キム・ゴンヒ女史に対しては終始かばう態度を示した」と指摘した。 尹大統領退陣集会に初めて参加するというハ・ガンサンさん(23)は、「ミョン・テギュン・ゲートのために腹が立って出てきた。国政壟断、キム・ゴンヒ公認介入、(殉職海兵隊員)C上等兵捜査に対する外圧疑惑の解明が必要だが、(記者会見で時間を決めず)無制限に(質疑応答を)行うと言っておきながら、2時間で切り上げた。国民向け談話については、率直に言って、けなす言葉以外は何も出てこない」と語った。 妻とともに仁川(インチョン)からきたというイ・ゲソンさん(59)は「公正を掲げていた大統領が、家族のためだけに権力を行使する姿を今回の談話でも確認した」とし、「国民としてのプライドが崩れ、国が滅びつつあると思った」と話した。京畿道高陽市(コヤンシ)からきたペク・スンホンさん(61)は、「多くの国民が求めている特検を違憲だとした大統領の発言が最も衝撃的だった。国民を馬鹿にしていることがあらわになった」と語った。 尹錫悦政権の外交・安保および教育・労働政策に対する批判も出てきた。主婦のペク・オクキョンさん(56)は「ウクライナ戦争を引き入れるのを見て恐怖を感じた。国民が乗り出さなければ、何を望むか分からないと思った」と話した。妻と4才、6才の子供まで家族全員が一緒に集会現場を訪れた現代自動車非正規労働者のユ・ホンソンさん(46)は「労働者弾圧が激しくなった雰囲気を特に体で感じている。今年初めて蔚山(ウルサン)の現代自動車外注企業らの賃金団体協約が全く締結されず、(労使の)対立が深刻だ」と伝えた。 子をもつ母親のイ・チャンミさん(39)は「任期5年の公務員が百年大計の教育に勝手に手を出している。子どもたちがこんな世の中で生きていかなければならないなんて、惨憺たる気持ちだ」と語った。 民主労総のヤン・ギョンス委員長は壇上に上がり「市民たちはいったいこの国の大統領がキム・ゴンヒなのかミョン・テギュンなのかを問うている」と叫んだ。共に民主党のイ・ジェミョン代表も「国家権力の源泉は国民であるだけに、委任された権力を持っている彼らに責任を問う時が来た」と述べた。同日の集会にそれぞれ退陣運動本部は10万人、民主党は20万人が参加したと推算した。 キム・ガユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )