元ブラジル代表は「ギリシャには勝てる」とエール
ダークホース的な存在としてブラジルでも注目されていた日本代表だっただけに、コートジボワールに1-2で敗れた初戦を地元メディアは次々と報じた。試合地レシフェの最大の日刊紙『ジアリオ・デ・ペルナンブコ』は、「これほど大勢の日本人がレシフェを訪れたのは、市の歴史上初めて。レシフェ市民は昨年のコンフェデ杯のイタリア戦での日本の大健闘を忘れてあらず、その多くが日本を応援した。日本は本田の見事なシュートで先制したが、パワーではコートジボワールが上。後半は完全に制圧されて、反撃も実らず。市民の多くは、日本人サポーターと共に悔しがった」と“日本視線”で好意的に報じた。
ブラジル最大のスポーツ紙『ランセ!』は、「立ち上がりはコートボワールが優勢だったが、日本が左スローインからのワンチャンスを生かした。本田が無駄のない動きでボールをコントロールし、強くて精度の高いシュートを叩き込んだ。ただし、そこからが良くなかった。コートジボワール守備陣はマークが甘く、追加点を奪う可能性はたっぷりあったのだが、流れをつかんだのはエレファンツたち。ドログバが入ってから日本選手の注意が彼に集中して他選手へのマークが甘くなり、左サイドを破られて連続失点を喫した。その後も、ほとんど得点機を作れず、コートジボワールに易々と逃げ切られてしまった」と今回の試合を解説。「日本が組織力を重視しているのはわかるが、もっと攻守両面で個人能力を高めないと世界トップレベルには到達できない」と課題を挙げていた。 日刊紙『オ・エスタード・デ・サンパウロ』も、「日本選手は、世界的なスターであるドログバが登場して驚いたようだ。以後、すっかり後手に回ってしまった」と後半17分にドログバが起用されてから、日本が2失点したゲームの流れを取り上げ、ザックジャパンの精神的な弱さを指摘した。 それでも、あと2試合を残している日本代表に光明を見出してくれるメディアもあった。試合を中継したスポーツTVで解説を務めた元ブラジル代表MFで、かつてジーコら黄金カルテットとともにW杯に出場したジュニオール氏は、「日本選手はテクニックとスピードがあるが、これらの特長を十分出すことができなかった。守備陣も、前半の運動量と集中力を後半まで保てなかった」と日本の弱点を指摘して苦言を呈したが、その上で、20日のギリシャ戦に向けてポジティブな分析コメントを口にしていた。 「日本の次の対戦相手ギリシャはコロンビアに大敗しており(0-3)、日本以上にショックが大きい。日本選手がショートパスをつないでテンポ良く攻め、守備ではハイボールに気をつければ、十分に勝てる相手」。 堅守がチームカラーのはずのギリシャは、コロンビア相手に、そのディフェンスが崩壊。攻守にわたってバラバラだったが、日本のポゼッションを高めた攻撃的なパスサッカーを知っているジョニオール氏は、言わば“本来のサッカーさえできれば勝てる”とエールを送ってくれたのだ。日系人の多いブラジルでは、メディアも多くのサポーターも日本へ好意的ではあるのだが、果たして次戦のギリシャ戦では追い風を味方につけることができるのだろうか。 (文責・沢田啓明/ブラジル在住フットボールジャーナリスト)