旧陸軍の風船爆弾基地、初の資料 見取り図、公文書館で発見
太平洋戦争末期に米国本土を狙った風船爆弾の攻撃拠点だった旧陸軍大津基地(茨城県北茨城市)に関する資料が、国立公文書館に存在することが24日、分かった。明治学院大国際平和研究所の松野誠也研究員(日本近現代史)が発見した。設備の配置計画を示す見取り図など陸軍文書の写しが残されていた。大津基地に関する当時の文書が判明したのは初めて。 風船爆弾は上空の偏西風に乗せて米本土を無差別爆撃する兵器で、気球に爆弾をつり下げた構造。「特殊攻撃」として1944~45年に使われた。人体実験をした731部隊(関東軍防疫給水部)の細菌兵器開発と同様、敗戦時に徹底した証拠隠滅が指示された。 松野さんは「大津基地の旧陸軍資料は残っていないとされ、郷土史家などの聞き取りでも詳細が分かっていなかった」と指摘。今回の文書は隠滅を免れた原本を後に旧厚生省が書き写したと考えられ、実態解明に近づく貴重な資料と分析する。 見つかったのは、兵器の製造開発を統括した「陸軍兵器行政本部」が敗戦前年の44年9月に作成した文書の写しなど。