『サガ』と佐賀県の連携事業“ロマンシング佐賀”10周年イベント体験リポート。佐賀県の日常に寄り添い、溶け込む『サガ』の世界を味わう
スクウェア・エニックスのRPG『サガ』シリーズと、佐賀県のコラボレーション事業“ロマンシング佐賀”(以下、ロマ佐賀)が、今年(2024年)10周年を迎えた。この節目を記念するイベントが、佐賀県にて2024年11月30日から2025年3月23日まで開催されている。 【記事の画像(40枚)を見る】 この10年のあいだに、『サガ』を取り巻く状況は大きく変化した。ロマ佐賀第1弾企画が行われたころは、家庭用ゲーム機向けの『サガ』新作は久しく発売されておらず、ソーシャルゲームの『エンペラーズ サガ』のおかげで、なんとか「『サガ』というIPはまだ続いているぞ!」と思えるような状況だった。 それが気づけば、新作は出るわリメイク・リマスター作品は出るわ、コンサートをやるわコラボカフェをやるわで、『サガ』に関しては話題に事欠かない状態となった。そんな『サガ』の勢いと足並みを揃えるように、佐賀県との連携も規模が大きくなり、最初は東京で数日間イベントを開催しただけだったのが、舞台を佐賀県に移し、佐賀(市)のみならず唐津、武雄、嬉野などと範囲を広げ、近年はあの吉野ヶ里遺跡にまで進出している。 こちらはロマ佐賀マップ。“ロマンシング佐賀 攻略Wiki”より引用。ロマ佐賀の影響範囲の広さがわかる1枚。 地方自治体がゲームを活用したり、ゲームとコラボレーションしたりすること自体は珍しいことではないが、10年という長い期間、ここまでの広範囲で行われている例はほかにはないのではないだろうか。佐賀県に降り立つと、『サガ』というIPが、地元に根付いていることがわかる。この“根付いている”という部分がポイントで、ほかの地方自治体コラボ企画ではなかなか味わえない空気感が、たしかに佐賀にはある。 たとえば佐賀駅。2022年にJR唐津線・筑肥線の全16車両すべてがラッピングされて以降、ロマ佐賀列車は地元の人々を乗せて2年以上走り続けている。これが“日常の風景”で、観光客以外で、驚いたり写真を撮ったりしている人はもはやいない。 2年前に設置されたロマ佐賀ベンチも、変わらず置いてある。風雨にさらされ、さすがにちょっと劣化しているが、それも味わいがあるというものだ。 今回、ロマ佐賀10周年の企画のひとつとして、“ロマ佐賀ポスト”が新たに7ヵ所に設置された。ポストという、またしても人々にとって日常的に接するものが『サガ』仕様になったことで、ますます『サガ』が佐賀県に溶け込んでいくのだろう。 佐賀駅南口には、アルベルトとクローディアが描かれたポストが設置されている。 唐津駅北口にあるのは、ジェラールとレオンが描かれたポスト。レオンが描かれている面を撮影するのはちょっとたいへん。 また、ロマサガ列車に関しては、2024年11月30日~2025年3月23日の期間限定で“ロマ佐賀列車ラリー リベンジオブザセブン”が開催されている。佐賀駅~唐津駅間で、列車の旅を楽しみながら、七英雄からのクイズに挑戦するというもので(途中で下車する必要はナシ)、クイズに正解してアンケートに回答するとオリジナルエコバッグがもらえる。 ※景品はなくなり次第終了。 列車ラリー用のパンフレットは佐賀駅・唐津駅・伊万里駅に置かれていて、誰でも無料で楽しめる。 七英雄と、ロマ佐賀列車に乗ったレオンとジェラールが描かれているこちらのエコバッグは、デザインの素敵さもさることながら、容量も大きくて使い勝手もいい。お土産を入れるのにピッタリなので、ぜひゲットして活用してほしい。 ロマンシング佐賀ストリートを歩いて、食べて、観戦して 続いて、佐賀駅から、2023年にグランドオープンしたばかりの“SAGAサンライズパーク”をつなぐ道を紹介しよう。ここには2025年3月23日までの期間限定で、ロマ佐賀デザインのフラッグとポール装飾が登場している。 この“ロマンシング佐賀ストリート”、短くはないが長くもないという、お散歩にはちょうどいい道のり(約1.4km)で、晴れた日に歩くと気持ちがいい。 ロマ佐賀フラッグがずらりと並んでいるのは壮観だが、ここに来るまでに、空港や駅ですでにロマ佐賀に関わる何かしらを目にしているので、このフラッグを見ても、いい意味で“浮いていない”と感じる。佐賀県にある『サガ』の世界がまたちょっと広がったなあ、という感じなのだ。 ロマ佐賀ストリート沿いの5店舗では、2025年3月23日までの期間限定でコラボメニューが登場しているので、休憩がてら食を楽しむのもオススメ。記者の個人的イチオシは“アバロンのいちご抹茶パフェ”。佐賀県産いちごがたっぷり乗っていて、みずみずしくて、食べるととても幸せな気分になれる。写真映えも抜群! アバロンのいちご抹茶パフェ 提供店舗:Fruits Garden 新SUN 価格:1980円[税込] また、“嬉野茶ラテ「翠の波動」feat.DivaNo.5”をテイクアウトして、SAGAサンライズパークのウッドデッキでくつろぐのもオススメ。タイミングが合えば、SaGa風呂バスが道を通るところを見られるかも? 嬉野茶ラテ「翠の波動」feat.DivaNo.5 提供店舗:La Pause 価格:650円[税込] もちろんほかの店舗のメニューもおいしいので、ロマ佐賀ストリートを散策する際はお腹をすかせておこう。“インペリアルタコス”を提供しているSUNRISE BOXには、『ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン』の試遊台が置かれているので、プレイを進めるのもいい。来店した人々の想いがつながり続ければ、いつか七英雄も倒せるかも……!? インペリアルタコス 提供店舗:SUNRISE BOX 価格:770円[税込] リラとターミンのクラウド・レルムプレート 提供店舗:ROUGH cafe&dining bar 価格:2000円[税込] ふくめんの佐賀牛ひつまぶしアドベンチャー 提供店舗:焼鳥かど屋 価格:3300円[税込] なお、SAGAサンライズパーク内にある“SAGAアリーナ”は、バスケットチーム“佐賀バルーナーズ”の拠点。SAGAアリーナでのホームゲーム開催日は、ロマ佐賀とのコラボ横断幕が展示されたり、フォトブースが設置されたりするので、こちらも要チェック。佐賀バルーナーズがフリースローを決めると、ロマ佐賀の特別な映像も見られる! 記者が観戦した日は、佐賀のお隣の県・長崎のチーム“長崎ヴェルカ”との試合ということで、かなり熱量が高かった。 次回、SAGAアリーナにてホームゲームが行われるのは2024年12月28日、29日。また、2025年1月4日、5日にも行われる。年末年始を佐賀で過ごし、ロマ佐賀を楽しむというのも一興だ。 ロマ佐賀の歴史を知りたければ“ロマンシング佐賀10周年企画展”へ 佐賀城跡の近くにある佐賀県立博物館では、2025年1月19日まで、“ロマンシング佐賀 10周年企画展”が開催中。なんと入場は無料という太っ腹仕様。 会場には、これまでのロマ佐賀の企画を振り返る年表のほか、『サガ』シリーズの原画、ゲーム開発資料、歴代の有田焼作品、ロマサガ列車のジオラマなどが展示されている。 『サガ』の開発資料は、過去に別のイベントで展示されたものだけでなく、今回で初お披露目となる資料も。河津氏直筆と思われるものもあり、当時の開発チームの空気感が感じられる貴重な展示となっている。 左の資料は、河津秋敏氏の直筆(だと思う、と本人談)。『ロマサガ2』のイベントアイテムの名前が書かれている。“人力風起こし”は、当初は“ヘリコプター”と呼ばれていた模様。 有田焼は3種類の新作を展示。『サガ』のイラストと佐賀県の伝統工芸が、新しい芸術を生み出している。 有田焼新作のひとつである“運命の坩堝”は、一度完成したものの、職人さんが納得がいかず作り直したというこだわりの一品。 2024年12月1日には、ロマ佐賀10周年のアニバーサリーセレモニーが同博物館にて開催され、佐賀県知事 山口祥義氏、『サガ』シリーズ総合ディレクター河津秋敏氏、『サガ』シリーズのプロデューサー市川雅統氏、幸楽窯の代表取締役 徳永隆信氏が登壇した。 ロマ佐賀10周年カラーである緑色のスーツとネクタイで登壇した山口知事は、『ロマンシング サガ リ・ユニバース』のプレイヤーでもある。過去にオトマン推しであることを公言していたが、最近はヨハンも好きらしい。そんな山口知事は「佐賀の町に『サガ』が溶け込んでいて、多くの人があちこちを冒険していて、リアルとバーチャルが混ざり合っているのがいい」、「まだまだ(ロマ佐賀の)冒険を続けたい!」と意欲を見せた。ロマ佐賀では取り上げられていない佐賀県の穴場はまだまだあるとのこと。 市川氏は「ここまでコラボを続けてこられたのは、佐賀の町が“すごくおもしろい、この魅力を広めたい”と思わせてくれる町だったことが大きい」と、ロマ佐賀の根幹に、町そのものの魅力があると語る。河津氏も「佐賀県の皆さんの営みに近いところでコラボをしていきたい」と、佐賀県とこれからも寄り添っていきたいという心境を語った。 トークショーで来場者といっしょに盛り上がる山口知事、河津氏、市川氏。来場者の中には、県外から10回以上佐賀を訪れたことがある、という熱心なロマ佐賀ファンもいた。 こうして、改めて10年を振り返ると、ロマ佐賀がここまで続いたのは、お互いへのリスペクトを持ちながら、佐賀の人々に寄り添って進めてきたからなのだな、と感じる。北は唐津、南はたら竹崎温泉、東は伊万里、西は吉野ヶ里と、方方の町々を盛り上げる施策を、時間をかけて丁寧に行ってきたからこそ、10年、そしてその先に続くプロジェクトに成長したのだろう。この先のロマ佐賀の行方が楽しみだし、また佐賀県で新しい体験ができるのを、いち個人としても楽しみにしている。 自分用のお土産として購入した連携グッズ、“電球ボトル入り閃きふりかけ”。ロマ佐賀の味を家でも楽しめてうれしい。 ロマ佐賀の最新情報は公式Xで随時発信中。お役立ち情報が投稿されているのでチェックしておこう。