最大2000億円投資、外資系ファンドがリゾート再構築へ 斑尾・野尻湖・妙高、長野・新潟県境のスキー場やホテル取得
■雪質や自然環境も良い一帯に着目
シンガポールの不動産投資ファンド、ペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)が、長野・新潟県境で大規模な再開発に乗り出した。斑尾高原(飯山市)や野尻湖(上水内郡信濃町)、妙高高原(新潟県妙高市)の各エリアでスキー場などを取得。北陸新幹線(長野経由)の各駅や高速道路のインターチェンジ(IC)に近く、雪質や自然環境も良い一帯に着目。投資額は最大2千億円規模で、国内外から誘客が可能なリゾートとして再構築する。 【写真】再開発に乗り出した、シンガポールの不動産投資ファンドのケン・チャンCEO
■日本国内の観光関連投資に特化のファンド
PCGは、シンガポールの政府系投資ファンド「GIC」に約20年所属し、日本支社代表も務めたケン・チャンCEO(最高経営責任者)が2019年に設立した。日本国内の観光関連投資に特化した「ジャパンツーリズムファンド1」を組成し、約350億円を調達。八十二銀行(長野市)などによる「八十二サステナビリティ1号投資事業有限責任組合」や、第四北越銀行(新潟市)などが出資する。
■スキー場計300ヘクタールを取得
PCGはこれまでに、三つのエリアで計約300ヘクタールを取得。スキー場は、木々の間を滑走する「ツリーランコース」を持つ斑尾高原スキー場(飯山市・妙高市境)と、長距離や高低差のあるコースを特徴とする妙高杉ノ原スキー場(妙高市)を傘下に収めた。両スキー場周辺の土地に加え、斑尾高原ホテル(飯山市)や、旧野尻レイクサイドホテル(信濃町)跡地も獲得した。
■「今後4~5年程度で開発の第1段階」
三つのエリアについて、PCGは「今後4~5年程度で開発の第1段階を進める」と説明。旧野尻レイクサイドホテル跡地では、26年までに宿泊を中核とする施設を開業する見込みとした。妙高高原では、28年冬までにホテルや商業施設を計画。斑尾高原については、計画を策定中としている。
■インバウンドや国内外の富裕層がターゲット
ターゲットは、インバウンド(訪日客)や首都圏から訪れるファミリー層のほか、国内外の富裕層としており、高付加価値化や長期滞在が可能なリゾートづくりを進める。整備する宿泊施設は「上質なホテル」としつつ、価格帯は現地の特性や顧客層を踏まえて検討する考えだ。
■再開発の全貌は見通せず
足元の投資額について、PCGは「借り入れも含め700億円規模になる可能性がある」(担当者)と言及。再開発の全貌は見通せないものの、長期の開発を視野に入れ継続投資で2千億円規模に達する可能性もあるとした。地元への説明について、「形式や時期は未定だが、適切なタイミングと方法でお話ししたい」(同)としている。