【高校野球】富士宮北が塩川監督ラスト采配で7年ぶり静岡県大会切符…駿河総合は3年連続進出
◇高校野球◆春季静岡県大会予選 ▽敗者復活戦 富士宮北3-2富士宮東(6日・明星山球場ほか) 上位決定戦、敗者復活戦の計26試合が行われ、県大会進出13校が決まった。敗者復活戦では富士宮北が富士宮東との「富士宮対決」を延長11回タイブレークの末3―2で制し、2017年以来7年ぶりの春県大会切符をつかんだ。同校OBで選手として甲子園出場経験のある塩川光史監督(61)のラスト采配を飾った。韮山は富士東を8―5で下して、2年連続で進出。駿河総合は静清を7―5で下し、3年連続で駒を進めた。県大会(20日開幕)に出場する全39校が出そろった。抽選は16日に行われる。 *** 富士宮北ナインは春県切符に喜びながら、学校のグラウンドに戻りミーティングに臨んだ。塩川監督はいつものように試合で見えた課題を告げた後、「監督を辞めて副部長になる」と明るい声で告げた。監督が交代することを初めて知った選手たちは驚きの表情を見せた。 何も知らずに戦った選手たちは粘って延長戦の死闘をものにした。ラスト采配を白星で飾った指揮官も「ここまで競るとは思わなかった。選手はよくやってくれた」と教え子に優しい眼差しを向けた。9回まで両軍は無得点。タイブレークの10回に突入すると、まず富士宮東に2点を許した。その裏1点を返した後、1死一、三塁で代打の滝口琉輝(3年)のスクイズで同点に追いついた。11回表を先発の山口汐音(3年)が無失点に抑えると、その裏の攻撃で1死満塁から四球を選び、サヨナラ勝ち。 指揮官は最後まで選手ファーストを貫いた。すでに定年を迎えていたこともあり、3月中旬に退任を決意したが「試合に影響を与えたくない」と、選手に知らせることはなかった。同校で1980年に遊撃手でセンバツに出場。他校での指導経験を挟んだものの、計19年間にわたり母校の監督を務めた。 指揮官は、大勝良則副部長(57)とミーティング後、役職を交代。自身が全国出場して以降、同校を甲子園に導く夢はかなわなかっただけに「いつか甲子園に行く学校のお手伝いできたら」と話す。11回2失点と粘投した山口は「まだ指導してくださる。春県1勝する姿を見せることができれば」と、意気込んだ。 (伊藤 明日香) *** 駿河総合が県行きのラストチャンスをつかんだ。後がない敗者戦での静清との強豪対決。3―3の延長10回2死満塁から2番・浅田竜輝左翼手(3年)が、走者一掃の右翼越え二塁打を放った。「自分がかえしてやるっていう思いがバットに伝わりました」。この日、自身3本目の二塁打がV打となった。 無死一、二塁から攻撃が始まるタイブレーク方式。先頭が送りバントを失敗。1死満塁の好機も逃し、流れを失いかけていただけに価値ある一本だった。「きょうは勝っただけで内容はなし」と勝ちペースの9回に追いつかれて、おかんむりだった望月俊治監督(58)も「浅田がよく打った」と、殊勲者をたたえた。 チームの目標もつないだ。県大会8強に与えられる夏のシード校取りが合言葉。負ければ、夏のノーシードは確定だった。「これで波に乗っていきたい」。昨秋から2番を任される男が、県でもチームの勝利に貢献する。(塩沢 武士)
報知新聞社