「戦国東都」の1部で31年ぶりに勝ち星挙げた東農大 エースの152キロ右腕・長谷川優也は、プロ一本でドラフトを待つ
東都リーグの伝統校・東京農業大学は、昨春の悔しい3部降格から、今春2部復帰、秋には1部へと一気に駆け上がってきた。エースとして投手陣を引っ張り、下剋上の立役者となったのが、ドラフト候補右腕・長谷川優也(4年、日本文理)だ。10月3日のリーグ戦第3週、青山学院大学との2回戦では、チームに31年ぶりの1部リーグ勝利をもたらした。 【写真】1部で31年ぶりとなる東農大の勝利は、王者・青学大から。ウィニングボールと北口監督(中央)、和田主将(右)と
1部リーグ初勝利は、王者・青学大から
最後の打者をセカンドゴロに打ち取り、長谷川はベンチへ向かって控えめにガッツポーズをしてみせた。第3週の2回戦で、東都リーグ3連覇中の王者・青山学院大学を5-4の1点差で破った。東京農業大学にとっては、1993年秋以来31年ぶりの1部リーグでの勝利になる。 長谷川は同点の6回からマウンドへ上がり、その回に1点を失って一度は勝ち越しを許したが、打者陣が8回に逆転。7、8、9回を無失点に抑え、待望の1部初白星を手にした。 「ずっと勝てていなくて、自分もチームの足を引っ張っていました。なんとしても抑えてやろうという気持ちだったので、抑えたときはうれしかった」と試合後、ホッとした表情を見せた。 8、9回と得点圏に走者を背負ったが、本塁は踏ませなかった。「大事な場面ではギアを上げ、気持ちの入ったピッチングで打者を抑える。そこが自分の長所」と長谷川は自身のアピールポイントを語る。最速152キロをマークする力強いストレートを軸に、カットボール、スプリットなどの変化球を織り交ぜ打者を打ち取る。3年春からエースとして、先発にリリーフにとフル回転でマウンドへ上がってきた。連投も辞さないスタミナも長谷川の魅力の1つだ。
投手にこだわり東農大へ進学
小1のとき、学童野球の大野ヤンキースに入部し野球を始めた。黒埼中3年の秋には内野手として軟式の侍ジャパンU15日本代表に選ばれ、U15アジア選手権優勝も経験。侍ジャパンのチームメイトには根本悠楓(現・北海道日本ハムファイターズ)、内山壮真(現・東京ヤクルトスワローズ)らがいた。 新潟・日本文理高校では2年夏に三塁手兼2番手投手として甲子園出場(2019年、第101回選手権)。高校までは野手として試合に出場することが多かったが、大学では投手としてプレーしたい気持ちがあったという。 東京農業大学を選んだのは、樋越勉前監督(当時監督)が投手として評価してくれたからだ。樋越前監督は東京農業大学北海道オホーツクを全国区の強豪に育て上げ、玉井大翔(現・北海道日本ハムファイターズ)、周東佑京(現・福岡ソフトバンクホークス)らをNPBへ送り出した名指導者で、2017年12月からは東京農業大学を率いていた。 「試合の主導権は投手にあって、自分が投げなければ試合は始まらない。それに、投手は一番目立つポジションですから、やっぱり自分は投手をやりたかった。樋越前監督は、大学4年間の投手としての育成プランを見せてくれたんです。野手として誘ってくれた大学もありましたが、投手として見てもらえる東農大にお世話になることに決めました」