ヨーロッパ企画「来てけつかるべき新世界」再演決定! 上田誠×藤谷理子×岡田義徳インタビュー
京都を拠点に全国で人気を博す劇団・ヨーロッパ企画が2016年に上演した「来てけつかるべき新世界」の再演が決定。作・演出を務めるヨーロッパ企画代表の上田誠さんと、初演でも同じ役を務めた藤谷理子さん、今回初めてヨーロッパ企画の舞台に参加する岡田義徳さんに、再演にかける思いと本作ならではの見どころを伺いました。 この日は、客演となる岡田さんが、藤谷さんと初めて顔を合わせたにもかかわらず、早速打ち解けて“おもろい作品”への熱い思いを語り合ってくれました。
──2016年に上演した『来てけつかるべき新世界』。今回、8年ぶりの再演となりますが、まずは初演時のお話から聞かせてください。 上田 「僕ら、関西で劇団をやっていますが、標準語で芝居をすることが多くて、実は関西ものをやったことがなかったんです。“大阪人情喜劇”みたいな世界観をいつかやってみたいなと思っていたなかで、『大阪のおっさんmeetsドローン使い』という掛け算をやったらよさそうだなという思い付きでした(笑)」
──再演を決めたいきさつは? 上田 「ヨーロッパ企画のメンバーは男性が多いんですけど、この作品では客演で藤谷さんをお呼びしました。狂言回し的な役割でおっさんたちを立たせてもらったら、すごくうまくいったんです。お客さんの反応もよかったし、自分的にもなかなか書けない作品になったという自負があって。ヨーロッパ企画はあまり再演をしてこなかったんですが、これはまたいつかやりたいな…と思っていたら、時代がマッチしてきた。それで、そろそろやってもいいかなと考えたんですね。でも、満を持してというわけではなく。新作をやったり、コロナ禍を経て、気付いたら8年経っていた感じです」 ──本作は大阪・新世界を舞台にしたSF人情喜劇です。ドローン、ロボット、AI、といったテクノロジーが劇中に盛り込まれていますが、初演から8年を経て、現実のテクノロジーがかなり進化しましたね。 上田 「ファミレスでハンバーグをロボットが運んで来るようになって、当時から考えると、AIやテクノロジーを取り巻く状況が変わっていますよね。第1、2章は当時の世相を反映させていたので、そこはアップデートさせてはいますけど、大きな改稿はありません。むしろ、時間が経ったら時代に追いつかれるとは思っていたんですよ。初演当時はファンタジー色が強かったけど、今となってはリアリティーが色濃くなってきた。生成AIの出現でテクノロジーの進化がぐっと身近になって、世間の方々もそういった存在を無視できなくなってきたと思いますし。だから、芝居の内容そのものを進化させたというよりは、新たなキャストを迎えての布陣で作る面白さのほうが僕としても楽しみなんです」