WAHAHA本舗40周年 久本雅美振り返る駆け出し時代「股間を向けた先にいた“見られたくなかった人”」
――下ネタを身内に見られるのは恥ずかしいですよね。 久本:公演が終わった後にウチの母が「せっかくおっちゃんが見に来てくれたんやから、電話してお礼を言いなさいよ」って。 それで電話して「おっちゃん今日はありがとうな。どうやった?」「よう女であんだけ頑張ってたな」「ありがとう。おっちゃんまた見に来てな」「いや、もう二度と行かん」って(笑)。 ――おじさんも恥ずかしかったみたいですね(笑)。 久本:後は女囚漫才というネタがあって。そのネタは笑いを取ったら刑が軽くなるという設定で女囚の私たちは看守に向かって毎日ネタをやらないといけないの。 私もいろんなことを考えてたんやけどネタに詰まってて。それで思い切って服を脱いで乳首を両手でつまんで「コーヒー豆!」ってやったんですよ。そしたらお客さんがシーーン!ってなって。しかもその客席にウチの母親と弟の嫁が見に来てたんですよ(笑)」 ――うわー!最悪ですね。 久本:公演後に母親と弟の嫁が楽屋挨拶に来て私が「ありがとうね」って言ってる時に喰さんが来たんですよ。それで私は普段はこんな下ネタをやってないことにしたくて「こんなんやったの初めてですよね?」って言ったら喰さんが「こんなん毎日やってますよ」って。そしたら弟の嫁が涙目になって「お姉さん、女を捨ててよう頑張ってはる」って(笑)。 ■「今もネタを考え続けている」 ――そういった恥ずかしさは吹っ切れて行くもんなんですか? 久本:吹っ切れましたよ。それはしゃあない。 喰:その時代はね。女性が笑いを取るのに照れたり女を出したらダメだったんですよ。男はその時代からすでに笑いのためにケツ出したりしてましたが女性ではいなかったんです。その先陣を切ったのが久本。 ――そういった久本さんの下ネタを周りの男性劇団員はどう見てたんですか? 梅垣:ひょっとこやコーヒー豆のネタを話で聞くと下品に聞こえるかもしれないけど、やっぱり演じ切ってるというのがあるから下品に思わないんですよね。 久本雅美という女性がやっているわけではなくて舞台に上がるとまた違うキャラクターに見えるから面白いですよ。 ――最後に「シン・シンワハハ 40」の見どころを教えてください。 喰:全部新作です。今回は久本の七変化じゃないけど短いキャラクターネタをかなり多くちりばめたいなと。 ――それは久本さんが新ネタを考えないといけないということですよね 久本:はい。毎回ですよ。 ――大御所になった今でもネタを考えているんですね。 久本:今だに考えてるよ。でもね、それが自分の宝になるんです。トークネタだったらバラエティ番組でも生かせるし、でも下ネタのときはいっさい生かせられないんですけどね(笑)。
(取材・文:インタビューマン山下)